Romanian Soccer Today 2010.11
11月19日 イタリア

  ユベントス、冬にトレードでマリカ獲得へ

 今季復活の兆しを見せているイタリアの強豪ユベントスは所属のモハメド・シッソコとの交換でシュツットガルト所属のルーマニア代表チプリアン・マリカを狙っている模様。

 すでにイタリアとの親善試合でもスカウトを派遣してチェックしていましたが、そこでマリカは代表で1年半ぶりのゴールも決めています。ちなみにオウンゴールも決めていますが。クラブでもシュツットガルトこそ低迷していますが、マリカ自身はチャンスメイカーとして攻撃を牽引し、アシストの量産段階にきています。

 シッソコはユベントスで不遇を過ごしていますが、いまだにその能力は評価されており、シュツットガルトも放出したケディラの影響で低迷をきしていることからそのポジションを十分に埋めることができるシッソコの能力を買っているようです。また同様に今季加入したカモラネージとの移籍交渉での良好な関係を維持していることもあり、難しくはない取引とのこと。
11月18日 イングランド

  チェルシーの冬の獲得リストにタマシュが浮上

 イングランドの強豪チェルシーはスタメンのセンターバックであるジョン・テリーとアレックスをケガで失ったことによる急遽の補充が必要となり、WBAで活躍しているルーマニア代表のガブリエル・タマシュを冬のターゲットとしてリストアップしていることが各紙を賑わせています。

 しかしタマシュ本人もルーマニアのプレスに「冬には自身のことについてニュースになることがあると思う。」と仄めかしている一方で、彼のイングランドでのエージェントであるジョン・カートランドは「彼はWBAに残ることを望んでいる。」と言っているようで情報が錯綜しています。駆け引きの一部なのでしょうか。

 『タマシュとはこのことについて話をしていますし、ルーマニアでの発言は真実ではないとの確認もしています。チェルシーとWBAの間にはコンタクトもないと聞いています。タマシュ本人も現在WBAでの生活に満足しているので移籍志願をしていることはないです。』

 どの報道が正しいかはこの手の情報の常ですので、蓋を開けて見なければわかりませんが、現在のWBA監督であるロベルト・ディ・マッテオは知られているように、90年代中ごろに金満オーナーを迎えて多国籍軍に変換したチェルシーに現役イタリア代表として初のイングランド移籍を果たしています。他にもゾラ、ヴィアリ、グーリットらも渡り、ルーマニア代表のペトレスクともチームメイトになっています。今でもチームとは良好な関係を築いていることから、タマシュの移籍については障害はないようです。

 タマシュはディナモで若き頃から好評価を得て、2008年の欧州選手権でピークを迎えましたが、クラブではガラタサライに始まり、スパルタク、セルタ、オセール、また何度か国内のディナモへ出戻るなど浮き沈みの激しいキャリアを送っています。現在のWBAは昨季2部から加入して昇格に貢献し、今季は弱小ながら安定した成績で中位に留まっているクラブにあってタマシュの評価も上がっています。代表でも見事に返り咲き。

 ただしチェルシー同様に、インテル、レアル・マドリッドらの成績を常に上位キープしなくてはいけない宿命の強豪が、既存のメンバーのケガで冬のとりあえずの穴埋め獲得した後にはケガ人が戻ってきて結局干される運命も持っています。
11月17日 クラーゲンフルト

  国際親善試合

イタリア戦

まっとうな召集もあり、少しはラズヴァン包囲網が解けたか。ただしフローレスクがまたフル出場

ヴェルターゼ・アレナ

ルーマニア 1 10 1 イタリア
01
チプリアン・マリカ 34
82

O.G(チプリアン・マリカ)
コステル・パンティリモン
(46分 チプリアン・タタルシャヌ)
コルネル・ルパ

ガブリエル・タマシュ
クリスティアン・キヴ
(15分 ドリン・ゴイアン)
ラズヴァン・ラツ
アドリアン・ロポタン
(80分 ダン・アレクサ)
ジョルジェ・フローレスク
ガブリエル・トルジェ
(58分 クリスティアン・タナーセ)
チプリアン・デアク

(90分 シルヴィウ・イリエ)
ボグダン・スタンク

チプリアン・マリカ
GKGK
DFDF
DFDF
DFDF
MFMF
MFMF
MFMF
MFMF
MFMF
FWFW
FWFW
FWFW
FWFW
FWFW
FWFW
FWFW
エミリアーノ・ヴィヴィアーノ
ダヴィデ・サントン
(60分 マッティア・カッサーニ)
レオナルド・ボヌッチ
アンドレア・ラノッキア
フェデリコ・バルザレッリ
クリスティアン・レデスマ
(46分 ダニエレ・デ・ロッシ)
(80分 ジャンパオロ・パッツィーニ)
アレッサンドロ・ディアマンティ
(46分 アンドレア・ピルロ)
アルベルト・アクイラーニ
ステファーノ・マウリ
ジュゼッペ・ロッシ
(46分 アルベルト・ジラルディーノ)
マリオ・バロテッリ
(60分 ファビオ・クアリアレッラ)
ラズヴァン・ルチェスク 監督 チェザーレ・プランデッリ
4-4-1-1フォーメーション 4-2-2フォーメーション
警告
ガブリエル・トルジェ 32
38
56
87

フェデリコ・バルザレッリ
ダヴィデ・サントン
アルベルト・アクイラーニ
ベンチ
ヴァシレ・マフテイ
フローリン・ガルドシュ
/・ サルバトーレ・シリグ
ダニエレ・ガスタルデッロ

プレイバック・オブ・ザ・ゲーム

 前回対戦したフランス同様に、2006年ワールドカップで決勝まで上り詰めたことからそれ以後にベテランをカットできず、蓋を開けたら4年後には共にグループリーグ敗退という限界を示してしまったイタリアだが、国内リーグの地盤の強さで急激な世代交代の推し進め、現時点では強豪ではないこれからのイタリアとしてルーマニアの前に立ちはだかった。

 そのレベルは落ちるが、同様に2008年本大会で山場を迎えて、世代交代という命題においてはフランスとイタリアよりも2年早く着手するも、世代交代とはどういうものかを理解していない新監督の力量のせいでルーマニア代表はここまでいたずらに時間を浪費しただけで、成長度ではついに並ばれフランスには前回追い抜かれてしまった。

 今回のテストマッチではトルジェら以外にルパ、ガルドシュといったユースから初召集組を揃えて刷新のルーマニア代表に対して、イタリアはさすがといったピルロ、デ・ロッシ、ジラルディーノらの主力を外して、「テストする」という意味合いを大きく前面に押し出した積極的若手起用。スタメンには初キャップが4人、GKとDF合わせても13キャップで、11人で計49キャップというキヴ、ラツ、タマシュら一人にも満たないメンバーで試合がスタートされた。

 このような状況においてはさすがに主導権を握ったのはルーマニア。5分にはマリカがイタリア守備陣の虚を突くドリブルでうまく3対2の状況を作り出し、今季はリーグ戦でもアシストによる評価を上げているマリカのチャンスメイクが得点の匂いをかもし出す。これは右のスタンクへ流すもクロスが低すぎて繋がらなかったが、続く9分には中央のデアクから左へとポジションチェンジしたマリカへのスルーパスなど、ゴールエリアのトライアングルの活性はアドバンテージがルーマニアにあることを明確に証明した。

 そのような実力差からか15分にはセンターバックのキヴがボールキープすると、そのまま自軍の深いところからゴールに向かってドリブルでオーバーラップする光景が見られた。このシーンは攻撃偏重で余裕がある格下相手との対戦でよくあるのだが、今回違ったのは加速させるやいなやボールをピッチ外に蹴りだして交代。どうやら足を痛めたらしく15分で退くことになった。ラズヴァンらしくガルドシュではなく、ゴイアンがピッチにイン。

 さらに17分、19分と惜しい攻撃の組み立てで見せたように、マリカを中心とした攻撃陣はデアク、トルジェ、スタンクと全員が両ポジションをこなせるので右に左にとイタリアDFを揺さぶるような流れが展開されていく。そして28分にはイタリアのゴールエリアのDF密集により弾かれたボールが正面のフローレスクから左のデアクへと渡り、エリア中央に折り返したボールをスタンクがさらにDFとGKの間にスルーパス。これをマリカがGKよりいち早くプッシュして先制。

 その後は若きイタリアがその勢いそのままに押し込んでくるが、ルーマニアDFは冷静に対処して弾き返す。終了直後にはバロテッリの突破でピンチが訪れるもパンティリモンの好セーブで難を逃れて前半が終了。

 前半の戦いぶりからイタリアはピルロ、デ・ロッシ、ジラルディーノといった本来のメンバーを投入。これで戦況はイタリア少し押し気味の展開になっていく。後半開始直後の46分にいきなりジラルディーノのカウンターこそタタルシャヌの長身を生かした横ばいのセーブでキャッチするも、ここから15分間はピルロの時間帯が繰り広げられる。マリカが2〜3人の選手をコントロールする図式に対して、イタリアはすべてのボールがピルロを経由することになり、縦、横、ななめとすばやく周囲の5〜6人をコントロールする才能はさすが世界的名手というべきか。

 57分にはトルジェとの交代でタナーセが入ると、ステアウアコンビのスタンクとのパス回しこそ増えてくるも効果的なものは見られず、デアクの右サイドでの緩急つけたドリブルで3人突破や、デアクのここ最近の試合でも見られた積極的な上下動ぐらいが魅せられた場面であろうか。要するにコンビネーションバランスは崩れて一方的にデアクのみが結果として目立つようになった。イタリアもピルロのパスによる崩しで中盤のポゼッションは有利になったが、フィニッシュまで持っていくには個々の能力が足りないようにも感じられた。

 しかし82分のピルロのCKが混戦のニアサイドに通るとマリカが押し込んでいまい、オウンゴールによって振り出しに戻った。これで久々の結果としてのイタリア勝利が厳しくなり、それ以上にここまでテストマッチなのにその形に囚われて、またしても十分なテストができたのかという点だろう。

 ここから試合終了までの10分間は、リーグで現役引退をも視野に入れている段階だと公言していながら今回、将来に向けて世代交代を推し進めているはずの代表に呼ばれたアレクサが積極的なロングシュートを何本も放って、しかも得点にはならなかったがすべてが枠内に見事な精度で飛んでいっていたのが面白かった。実力はありながら全盛期に1度中国に渡ってしまったことがその後もレッテルとして貼られて、代表レベルをキープしながら年月を経て最後にして2度目の代表を楽しんでいるようで清々しい印象すら感じたものだ。

強豪相手に決めるイメージのマリカ

 この日はマリカを核にしたデアクとトルジェの攻撃トライアングルにメドがついたことが収穫でしょう。ラドイの離脱でさらにピンチになった中盤の底は苦し紛れではありましたが、ブランクがありながらロポタンに目をつけたラズヴァンの召集は吉と出ました。地味ながらバランサーとして責務はこなしたように思えます。ルパと共にポジティブなこの試合に華を添えているものでしょう。後はまたもやフローレスクをフル出場させてしまうことなく、後半からガルドシュを入れていれば評価は上がっていたでしょうね。初キャップ組をフル出場させ、積極的な交代を履行したイタリアのほうが世代交代の意味を十分に理解していました。

11月15日 ブカレスト

  国際親善試合:イタリア戦

代表メンバー発表

  
 ルーマニア代表のラズヴァン・ルチェスク監督は今月17日にオーストリアで行われるイタリアとの親善試合の代表メンバーを発表しました。まず前回からコンディション等の問題で辞退したのが、ラドゥ、サプナル、コンスタンティン。未召集がロボンツ、コチシュ、ラザール、アポストル、ズィク、ロマン、ニクラエでした。

 GKはロボンツを外したのは良策。テストマッチでは後継を育てるのが急務なので若手で十分でしょう。たぶん予選では入れてくるだろうけど、ここでは前回好調のパンティリモンを軸にすることで誰もが納得の選択。

 DFではなんといってもラドゥのケガでの辞退が気がかりなところです。今までの「直前でのリーグ戦にはフル出場、後の代表は辞退」という図式がまた繰り返されたもので、ようやく前回のフランス戦で召集に応じるも、ラズヴァンはあれほど欲しがっていた人材にもかかわらず、チャンスを与えなかったことからそのことの報復での辞退というのも考えられます。この代表戦後のリーグ戦でまたフル出場とかしていたらクロでしょうね。また1からの説得の日々が始まります。サプナルも同様にクサい匂いがします。ルパがいるから別に不安視のポジションではないですが、予選3試合を終えてからの起用は遅すぎ。後手後手だっての。

 MFではほぼ両翼こなせるデアク、トルジェ、タナーセの攻撃陣は1年前からその時点で最高の攻撃的MFと言われていたので揃えたというより、やっと気づいたかと。気づいた及び知っていた順にすると「クラブの関係者>ユース代表監督≧メディア≧一般のファン>フル代表監督」となります。リーグ首位クラブから若手のイリエを召集したことは評価してます。ただし守備的MFの3人は不安なメンバーで、アレクサは実力こそ認めるも代表は1度出場した親善試合以来6年半ぶりで、さらに本人も現役引退を示唆しているようなキャリアの終盤を迎えている選手の起用に将来のビジョンが疑問。ロポタンは2年前のディナモ時には若手の代表クラスではあったが、代表ではアレクサ同様に2年ぶりの2キャップ目。クラブでは最近こそ使われ始めているが、ケガや干され続けていた期間が長すぎて評価がわかれるところ。人材難においては苦肉の打開策レベルでしょうが、若いので重要なコマとして伸びていって欲しいですね。もう1人のフローレスクはラズヴァンがハジ→ムトゥを引き継ぐ代表の核として位置づけている様子ですので絶対的に起用され続けるでしょう。あれっ?結果も比例していますが。

 FWはまさか2部というレベルの落ちているリーグでの数字を鵜呑みにしているのではないでしょうね、といったところでしょうか。試すのは大いに賛成ですが、試すなら若手とベテランのどちらが総合的に有意義なのかは考えて欲しいところ。ましてや将来への構築段階である現代表において採るべきビジョンは明確なのでは?


 GK  所属 生年月日 CAP
 コステル・パンティリモン  FCティミショアラ 1987.02.01 (23歳) 8/0
 チプリアン・タタルシャヌ  ステアウア・ブカレスト 1986.02.09 (24歳) 0/0
 DF
 クリスティアン・キヴ  インテル(ITA) 1980.10.26 (30歳) 74/3
 ラズヴァン・ラツ  シャフタル・ドネツク(UKR) 1981.05.26 (29歳) 69/1
 ガブリエル・タマシュ  WBA(ENG) 1983.11.09 (26歳) 51/3
 ドリン・ゴイアン  パレルモ(ITA) 1980.12.12 (29歳) 34/5
 ミハイツァ・ネシュ  ユトレヒト(NED) 1983.02.19 (27歳) 8/0
 クリスティアン・サプナル  FCポルト(POR) 1984.04.05 (26歳) 7/0
 ヴァシレ・マフテイ  ウニレア・ウルジチェニ 1981.01.01 (29歳) 10/1
 コルネル・ルパ  オツェルル・ガラツィ 1990.01.16 (20歳) 0/0
 フローリン・ガルドシュ  ステアウア・ブカレスト 1988.10.29 (21歳) 0/0
 MF
 チプリアン・デアク  シャルケ(GER) 1986.02.16 (24歳) 8/0
 ジョルジェ・フローレスク  FCアラニア(RUS) 1984.05.21 (26歳) 6/1
 アドリアン・ロポタン  ディナモ・モスクワ(RUS) 1986.05.08 (24歳) 1/0
 チプリアン・タナーセ  ステアウア・ブカレスト 1987.02.18 (23歳) 8/1
 ガブリエル・トルジェ  ディナモ・ブカレスト 1989.11.22 (21歳) 2/0
 ダン・アレクサ  FCティミショアラ 1979.10.28 (31歳) 1/0
 シルビウ・イリエ  オツェルル・ガラツィ 1988.06.27 (22歳) 0/0
 FW
 チプリアン・マリカ  シュツットガルト(GER) 1985.10.02 (25歳) 42/12
 ゲオルゲ・ブクル  クバン・クラスノダル(RUS2部) 1980.04.08 (30歳) 19/4
 マリウス・ビラシュコ  ステアウア・ブカレスト 1981.07.13 (29歳) 5/0
 ボグダン・スタンク  ステアウア・ブカレスト 1987.06.28 (23歳) 4/1



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