Romanian Soccer Today 2010.5
5月29日 リヴォフ

  国際親善試合

ウクライナ戦

前予選グループ2位でプレイオフのチームとグループ5位のテストマッチ

ウクライナ・スタジアム

ウクライナ 3 10 2 ルーマニア
22
アレクサンドル・アリェフ


イェフゲン・コノプリャンカ
O.G(クリスティアン・キヴ)
15
54
63

75
78

ガブリエル・タマシュ
ダニエル・ニクラエ
アンドリー・ピアトフ
ドミトロ・チグリンスキ
ヴァシリ・コビン

(58分 デニス・オレニュク)
イゴール・オスィチプコ
(62分 ヴラディミール・ポレヴォイ)
アナトリー・ティモシュク
タラス・ミハリク
オレグ・グセフ
(86分 アルテム・フェデツキ)
アレクサンドル・アリエフ
(89分 イェフゲン・セレズノフ)
イェフゲン・コノプリャンカ
アルテム・ミレフスキ
(83分 ルスラン・ロタン)
アンドリー・シェフチェンコ
(92分 イゴール・フドビャク)
GKGK
DFDF
DFDF
DFDF
MFMF
MFMF
MFMF
MFMF
MFMF
FWFW
FWFW
FWFW
FWFW
FWFW
FWFW

FWFW
FWFW
ボグダン・ロボンツ
ヴァシレ・マフテイ

ガブリエル・タマシュ
クリスティアン・キヴ

ラズヴァン・ラツ
ミレル・ラドイ
ティベリウ・ギオアネ
(46分 ラズヴァン・コチシュ)
ミハイ・ロマン

(77分 チプリアン・デアク)
クリスティアン・タナーセ
(88分 ミハイ・ラドゥツ)
マリウス・ビラシュコ
(84分 ヨヌーツ・マズィル)
アンドレイ・クリステア
(46分 ダニエル・ニクラエ)
ミレク・マルケヴィッチ 監督 ラズヴァン・ルチェスク
3-5-2フォーメーション 4-4-2フォーメーション
警告
アルテム・フェデツキ 91
ベンチ
アンドレイ・ディカン
アンドレイ・ルソル
/・ コステル・パンティリモン
ジョルジュ・フローレスク
ニコラエ・ディカ

プレイバック・オブ・ザ・ゲーム

 ここまで呼ぶべき実力の選手を呼ばない召集基準や内容で批判されながらもなんとか結果だけは4勝2敗2分と最悪の部類を免れていたラズヴァン体制。しかし今年に入っての初戦イスラエル戦を落としたこと、および相変わらず「27歳前後の選手こそが呼ぶべき選手」という将来性のない選考が見られる中でガラマズやマフテイに加え、今シーズンにおいて実績がないロボンツやディカまで追加したこの試合。最悪の思考回路を持つ監督と揶揄されながらも想像だにしなかったのは、現在は一時不調中のロボンツやコマンのバックアップや将来の戦力として今のうちに経験を積みたいパンティリモンのスタメンは固いという思惑を覆してまでのロボンツ起用だろう。3試合の連続したテストマッチという価値のある中で、しかも唯一として強豪の部類に入るウクライナ戦ではパンティリモンの経験値にプラス効果を刻むことができると多くの人が思ったというか、当たり前すぎて心配はしなかったであろう。しかしタナーセやマフテイの起用法ですら問題を抱えている指揮官は新たな問題を代表に送り込んできた。驚愕のロボンツのスタメン起用である。1,2年後の代表の守護神はと言えばまだ多くの人がロボンツやコマンを挙げるだろう。実力はやはり抜きん出ており、今のクラブでの不調や出場時間の少なさは一時的なもの、されど後継との差を埋めるにはこの段階で経験を積ませることが逆に2人の不在を好機と捉えているのは私も同じ。要するに現在の指揮官には長期展望での代表の構築などは皆無であり、現状というものも理解できていないのであろう。昨季クラブで3試合しか出場していないロボンツを重要な予選で起用と言うのであればまだ妥協して理解はできる。このテストマッチでのロボンツ起用は、すでに9月のアルバニア戦での段階でロボンツのクラブでの不遇を見越してまでもの起用の調整としてしか見ることができない。9月までこの政権が持ちませんように。

 相手のウクライナは前予選はグループで2位になりながらもプレイオフで今年のワールドカップを逃した強豪。対してルーマニアはフランス、セルビアどころかお手軽な勝点供給チームであったリトアニアやオーストリアをも下回る5位フィニッシュのチーム。2012年には地元開催で予選が免除されているウクライナは来たる2年後の熟成と育成に向けてシェフチェンコ、ティモシュクなどの実力者に加えてバランスの良い構成で長年の難敵であるルーマニアに挑んできた。しかしかつてこのウクライナに3勝無敗を残しているルーマニアの現状は相手チームが知る由もない低迷をかこっているのである。

 試合が開始されると序盤は予想にもしなかったルーマニアのチャンスで流れていく。ラズヴァン政権での唯一の若手と言われる右のロマン(25歳)は積極的に突破をしかけて良質のセンタリングを上げる。しかしムトゥ離脱の中で将来性を期待される左のタナーセはステアウア加入後からの不調そのままで、前試合での同ポジションのデアクの好パフォーマンスにより、メディアのデアク起用主張論を証明するかのように目立たないプレーに終始する。6分にはルーマニアが攻勢の中、ギオアネが左サイドでフリーだったタナーセに絶好のパスを出したところでタナーセを追い越す形でラツが絶好のオーバーラップ。しかしとんでもない強いパスを入れて敢え無くゴールキックに。 直後のラツのタナーセに対する睨みに彼の怒りの度合いが分かるシーンも。 また10分には前線への縦パスをビラシュコがポストで相手DF2人と競り勝って左サイドのクリステアに繋がりシュート。惜しくも右に逸れたが序盤にしては良い攻勢だった。

 しかしまだ双方が手探り段階で迎えた16分。なんでもない正面40メートルほどの相手FKは蹴り出されてからのロボンツの鈍い動きによって直接ゴール右下に決まってしまった。微妙に右にカーブしたとも表現はされるが、あきらかにあの距離にもかかわらずセーフティなポジショニングを怠ったロボンツのミス。強権を発動してまで強行した指揮官のスタメン起用は失点と言う形で致命的な裏目になった。1-0。

 ルーマニアの好調な出だしの中でこの失点を機に一気にウクライナに風が吹き始める。先制点を決めたアリエフや今やチームのベテランであるシェフチェンコを中心にマフテイの裏を執拗に攻めて中央にボールを送り続ける。前半の残りに渡ってルーマニア陣内で繰り広げられた攻撃はその後復調したロボンツの好セーブとギオアネの守備範囲の広さとボール奪取能力で助けられた。一方、ルーマニアの攻撃は苦し紛れのキヴのロングシュートのみと言っていいほどであった。

 後半に入るとやはり頑固な指揮官は穴とされたマフテイや攻撃のブレーキとなっていたタナーセを交代させず、FWの一角のクリステアに代えてダニエル・ニクラエ、そして攻撃にいけなかったのはギオアネのせいとばかりに、前半の守備での功労者を外していく采配。この後たしかにコチシュが入った攻撃に力を強めていくが、代えるなら存在感を示すことができていなかったラドイが妥当なのは明らか。バランスで言えば後半は最近は珍しく白熱した展開で見ていて勝利を感じさせるものではあった。

 攻守において両チーム同等のせめぎ合いを見せる中、後半11分に相手のファウルで得た40メートルのFKを久々のタマシュの弾丸シュートが見事に炸裂。同じようなシチュエーションで試合を振り出しに戻すと共に新たにW杯公式となった「ジャブラニ」の特徴と言われて各GKから非難されているブレ球の恐ろしさも味わった。続いて後半20分には左サイドでビラシュコがインターセプトしたボールを受けたダニエルが一気に中央にドリブルで加速すると1人でDFを引きつけながらそのままシュートして連続個人技での逆転。1-2。

 ウクライナも負けじとシェフチェンコ中心に華麗なパスワークで何度もエリア内に侵入してくる。特にこの日はストライカーのシェフチェンコがラツの裏側を突いて右サイド奥からチャンスメイクに冴えを見せていく。その流れの必然で後半30分に右サイドを深く進入したシェフチェンコがシュート。復調したロボンツがナイスセーブでかろうじて足で止めたものの、左サイドに流れたボールに対してロボンツこそ体勢を立て直したが、それを至近距離で受けたコノプリャンカに対してのマフテイとタマシュのプレスが遅く、フリーで強烈に放たれたシュートはロボンツの股下左足に当たり無情のゴール。2-2。

 ようやくここで不可のできのタナーセではなく、右サイドで評価できる動きをしていたロマンに代えてデアクが登場。右にタナーセをポジションチェンジしてまで使い続ける愚策が見れたところで同点弾から4分後、カウンターで再びラツの裏を取ったシェフチェンコがそのまま横からエリアに侵入。ロボンツが懸命に飛び出すも一瞬早くジャンプしながらかわしたシェフチェンコのシュートがゴールに向かう中で急いで戻ってきたタマシュとキヴで人数は十分だったが、そのままゴールに向かっての勢いのままのキヴの足に当たったボールはルーマニアのゴールネットに吸い込まれていった。

 まだまだ情熱の途切れないルーマニアはアグレッシブなデアク中心に試合を振り出しに戻そうとやっきになるが、組織されたウクライナの守備にはさすがの勢いも歯が立たなかった。結局不調のまま終わったマフテイ、ラドイはフル出場。絶不調のタナーセが代えられたのは失点後の後半40分だった。代わって時間を与えられた若き才能のラドゥツがテストに要された時間は5分という悲惨なものなのである。

 これでかつての選手たちが築いたウクライナ戦全勝というジンクスがまず消えた。残るマケドニアとホンジュラスとの対戦でもまだかつての先輩達が築きあげた無敗伝説が残っている。しかしいまやこのラズヴァン政権下では楽に勝てる相手はいなくなった。果たしていくつの栄光の歴史が負の遺産と変わっていくのであろうか。今はもうその決断を下せない協会に対しての怒りが最も大きいものとなっている。

40メートルの距離があってなおこのポジショニング

 あの起用法と無戦術でけっこうな白熱した試合が展開。これにまっとうな監督が正しい選手を招集して、確かな戦術を加えたらそこそこ強いと思われるルーマニア代表。想像して欲しい、右サイドのマフテイをサプナルに、左サイドのラツをラドゥに、右ハーフのロマンをトルジェに、左ハーフのタナーセをデアクに、右FWをマリカに、おまけで左FWをムトゥに。これは夢物語ではなく、監督さえ交代すれば簡単に実現可能な近い未来である。

5月21日 ブカレスト

  国際親善試合:ウクライナ・マケドニア・ホンジュラス戦

代表メンバー発表

  
 ルーマニア代表のラズヴァン・ルチェスク監督はオーストリアで行われるウクライナ戦(5月29日)、マケドニア戦(6月2日)、ホンジュラス戦(6月5日)の親善試合代表メンバーを発表しました。前試合からの主な離脱はネシュ、ニコリツァ、マリカ、ブクル、M・ニクラエとなっています。ブクルとニクラエを切ったのはようやく評価できる。ネシュに関しては前回のお粗末で誰でも決断できることなのですが、怖いのはラツが復帰したことにより一時的な離脱と考えているかもしれないということ。この監督ならやりかねません。マリカに関しても些細なゴタゴタから(リーグで好調でないという理由)、今回のリーグ好調時での報復未召集です。自分の言った理由に矛盾してでも、個人的プライドを守った様子。そういうことはほかでやっていただきたい。

 また復帰組ではキヴ、ラツ、ロボンツ、コチシュ、ディカ、マズィル、ダナナエが召集。コチシュは国内復帰後のリーグでの好調とかつての実績から妥当の範囲。ダナナエは開幕の2戦と最後の4試合しか出ておらず、リーグの真ん中28試合をケガで欠場していただけに何を基準にしているかと言えば過去の評判だけ。ディカに関しては今回の目玉となっているように、海外で失敗、国内復帰でもスピードなし、インパクトなしで何を見て判断しているか誰もわからず。ラズヴァンの見る目がポンコツであることが今回も証明されました。おめでとうございます。プラスでロボンツの今期は試合出場は長いシーズンの中でリーグ2試合、ヨーロッパリーグで1試合です。私はロボンツこそ正当守護神だと考えていますが、この成績で呼んでしまうと「その時点でのベスト」とかの召集理由はすべて説得力ないものとなりますね。

 セリエAで降格争いに苦しんだラツィオとはいえ、リーグ全体でもベストDFの一人として絶賛されたラドゥはどうやら本人のシカトによりしばらくはピツルカ政権時のギオアネのように出番はないでしょう。このような形での召集拒否は大人の行動とは言えないものですが、本人の気持ちになって考えると私でも同じ行動を取るでしょう。問題はどちらが最初に間違った判断をしたかですので。問題の根本を見ないで現在起こっていることに怒りをあらわにしているうちは同様なケースは起こり得るでしょう。


 GK  所属 生年月日 CAP
 ボグダン・ロボンツ  ASローマ(ITA) 1978.01.18 (32歳) 74/0
 コステル・パンティリモン  FCティミショアラ 1987.02.01 (23歳) 5/0
 シルビウ・ルングJr  ウニベルシタテア・クライオバ 1989.06.04 (20歳) 0/0
 DF
 クリスティアン・キヴ  インテル(ITA) 1980.10.26 (29歳) 69/3
 ラズヴァン・ラツ  シャフタル・ドネツク(UKR) 1981.05.26 (29歳) 62/1
 ガブリエル・タマシュ  WBA(ENG・2部) 1983.11.09 (26歳) 44/2
 ドリン・ゴイアン  パレルモ(ITA) 1980.12.12 (29歳) 32/5
 ヴァシレ・マフテイ  ウニレア・ウルジチェニ 1981.01.01 (29歳) 8/1
 ラズロ・セプシ  FCティミショアラ 1986.06.07 (23歳) 2/0
 ジョルジェ・ガラマズ  ウニレア・ウルジチェニ 1981.04.05 (29歳) 1/0
 オヴィディウ・ダナナエ  ウニベルシタテア・クライオバ 1985.08.26 (24歳) 1/0
 MF
 ミレル・ラドイ  アル・ヒラル(S.A) 1981.03.22 (29歳) 60/1
 ティベリウ・ギオアネ  ディナモ・キエフ(UKR) 1981.06.18 (28歳) 18/2
 ジョルジュ・フローレスク  FCアラニア(RUS) 1984.05.21 (26歳) 1/0
 ラズヴァン・コチシュ  FCティミショアラ 1983.02.19 (27歳) 32/2
 ミハイ・ロマン  FCブラショフ 1984.11.16 (25歳) 6/0
 クリスティアン・タナーセ  ステアウア・ブカレスト 1987.02.18 (23歳) 5/1
 チプリアン・デアク  CFRクルージュ 1986.02.16 (24歳) 1/0
 ミハイ・ラドゥツ  インテル・クルテア 1990.03.18 (20歳) 0/0
 FW
 ダニエル・ニクラエ  オセール(FRA) 1982.10.06 (27歳) 28/6
 ヨヌーツ・マズィル  アーセナル・キエフ(UKR) 1982.02.09 (28歳) 12/3
 ニコラエ・ディカ  CFRクルージュ 1980.05.09 (29歳) 30/9
 アンドレイ・クリステア  ディナモ・ブカレスト 1984.05.10 (25歳) 7/0
 マリウス・ビラシュコ  ウニレア・ウルジチェニ 1981.07.13 (28歳) 0/0



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