 |
|
Romanian Soccer Today 2007.10 |
|
 |
|
10月26日 ルーマニア
偉大なるレジェンド、ニコラエ・ドブリン死去
ハジ以前のルーマニアの、そして地元アルジェシュ・ピテシュティの誇るスーパースターであったニコラエ・ドブリンが肺ガンのため60歳で亡くなりました。近年は肺の病気として入退院を繰り返していましたが、ガンであったことは内密にされていたようです。
ドブリンは81年の1シーズンを除いてキャリアを15歳でデビューしてからアルジェシュ・ピテシュティに捧げ、72年と79年の2度にわたりクラブにリーグタイトルをもたらしています。代表でも48キャップを記録、当時テクニシャン揃いだった代表の中でもその才能は群を抜いており、世界的クラブだったレアル・マドリッドがその獲得を熱望してやまなかったのでも有名です。しかし当時の政治情勢により海外移籍は叶わず、1970年のワールドカップでもメンバーに入りながら確執により1試合もプレーできなかった悲運の天才としても知られています。
ハジが理想としていた、そして現代表のムトゥ、ディカ、コマンが若き日に指導を仰いだ偉大なるヒーローの冥福をお祈りします。
・ |
10月20日 イタリア
ムトゥがレアル・マドリッドへの移籍を否定
今季、7試合で5得点をマークしているフィオレンティーナのルーマニア代表FWムトゥは、レアル・マドリッドから関心を持たれたことに感謝するも、同選手はこれらの誘いを丁重に断り、もはや自分が完全にフィオレンティーナの人間になったことを宣言している。
『レアルが僕に興味を持ってくれることは光栄だし、とても嬉しく思う。だけど僕は移籍しないよ。僕が望んでいるのは、フィオレンティーナとの契約を延長することなんだ。ただ、だからといって契約を急ぐつもりはないよ。僕はすでにここで4年間の歳月を過ごしているし、移籍市場が僕の頭を悩ませることはないね。僕はこのチームで何かを勝ち得たいんだ。』
・ |
10月18日 ブカレスト
苦労の種が実る時
昨日のルクセンブルグ戦に勝利し、同じく行われていた一試合で同グループ3位のブルガリアがアルバニアに引き分けて勝点を落としたため、ルーマニアの2000年欧州選手権以来の大舞台出場が決定しました。ここまでその多大なキャプテンシーでチームを率いてきたクリスティアン・キヴは『ここまでいろんな苦労をしてきましたが、7年かけて予選を突破することができました。この勝利をこれまで私たちを信じてくれた人達に、そして共に歩んできた人達に捧げます。今まで3大会も失望させて申し訳なく思っていますが、ようやくゴールにたどり着くことが出来ました。』
まだ若手の頃に2000年を経験したキヴ、ロボンツ、コントラ、ムトゥ、F・ペトレが率いてきたこの世代は90年代に5度の大舞台で栄光を謳歌したいわゆる黄金世代と比較され、そしてひどく見劣りすると酷評を受けてきました。ピツルカこそ2000年予選で代表監督を務めチームを無敗の快進撃を見せてはいるものの、半ばにチームの主力で立場も大きくなっていたハジ、ポペスクなどの重鎮と確執が起こり、本選を迎える前に辞任しています。しかし今回、堕落した代表を建て直しついには自身初となる大舞台を引き寄せたのです。
『突破が叶った今から我々は本選への準備を始めます。次のブルガリア戦にも当然ルーマニア最強のイレブンをピッチに送り込む予定です。ブルガリアは最後のキップを賭けて全力で挑んでくるでしょう。しかし我々もホームで引き分けに持ち込まれた屈辱を忘れてはいません。そして我々はこの予選を無敗で首位をキープし続けるのです。決して忘れてはいません。我々はルーマニアを代表する者なのだということを。』
またピツルカ監督は難敵オランダに勝利を収めた熱狂の中でのルクセンブルグ戦できわめて平静にプレーできた選手たちに賛辞をおくっています。『あのような歓喜の中においても普通にプレーできていました。集中したからこその勝利です。この3ポイントの大きさを感じていたから予選突破という偉業を成し遂げられました。』
・ |
10月17日 ルクセンブルク
2008欧州選手権 予選グループG 第10戦
・ |
ムトゥがいないとこんなにも不安になるのかと感じたこの試合の前半。本選決めてもつねに満足しないで欲しい。永遠に勝ち進むルーマニアこそが私の生きがい。とにかくおめでとう。 |
・ |
ジョシー・バーセル・スタジアム |
 |
ルクセンブルグ |
0 |
0−1 |
0 |
ルーマニア |
 |
0−1 |
・ |
42
61 |
F・ペトレ
C・マリカ |
ジョナタン・ジュベール
ベノワ・ラング
キム・キンツィガー
エリック・ホフマン
ジャン・ワグネル
マリオ・ムッチ
ベン・パヤル
(66分 アルフォンス・レヴェック)
レネ・ペータース
ジレス・ベットマー
(49分 カルロス・フェレイラ)
セバスティアン・レミー
ジョエル・キテンゲ
(57分 ダニエル・ダ・モタ) |
GKGK
DFDF
DFDF
DFDF
MFMF
MFMF
MFMF
MFMF
FWFW
FWFW
FWFW
FWFW
FWFW |
ボグダン・ロボンツ
ジョルジェ・オガラル
ガブリエル・タマシュ
ドリン・ゴイアン
ラズヴァン・ラツ
アンドレイ・マルガリテスク
フローレンティン・ペトレ
ニコラエ・ディカ
(64分 アドリアン・クリステア)
クリスティアン・キヴ
(86分 オヴィディウ・ペトレ)
チプリアン・マリカ
ダニエル・ニクラエ
(75分 フローリン・ブラトゥ) |
ギー・ヘラース |
監督 |
ヴィクトル・ピツルカ |
5-4-1フォーメーション |
・ |
4-1-3-2フォーメーション |
・ |
警告 |
・ |
・ |
61
71 |
チプリアン・マリカ(1枚目)
フローレンティン・ペトレ(1枚目) |
・ |
ベンチ |
・ |
マルク・オーヴェルバイス
クラウディオ・ロンバルデッリ
クリス・サグラモラ
ティム・ハインツ |
・ |
マリウス・ポパ
ペトレ・マリン
シュテファン・ラドゥ
ゲオルゲ・ブクル |
|
ムトゥ、ニコリツァ、コドレアといったオランダ戦勝利の立役者3人を累積警告で欠くなかで、ルーマニアは序盤からリズムに乗って攻勢に出る。主導権を握ろうとする中、前節ベラルーシ相手に12年ぶりの公式戦勝利を収めたルクセンブルグの5バックは驚異の集中力でルーマニアに決定機を作らせない。コンディションがまだ完全には戻っていないディカ、クラブでのスランプを代表にまで持ち込んでいるマリカの力では独力でも打開できず、ミドルシュートは精度を欠き、セットプレーで注目の人、ドリン・ゴイアンに合わせるといったデジャブもCKを任されたF・ペトレのクロスがまったくの不出来で、いたずらに時間だけが過ぎていった。
それでも42分、ついに均衡を破る。右サイドのマリカが放ったミドルシュートともクロスともとれる強烈なグラウンダーを相手DFがクリアミス。そしてそのままGKと交錯してこぼれたボールにニコリツァ出場停止の代役として急遽代表入りしたF・ペトレがつめて安堵の先制点を奪う。このまま前半は終了。
後半も同じくルーマニアが実力差そのままに試合を支配。D・ニクラエのシュートが相手GKに止められた後の61分に中盤の早い押し上げの最後に左サイドのキヴが送った強烈な勢いのスルーパスはDFとGKの間を綺麗に通過。走りこんでいたマリカはそれを無人のゴールに押し込むだけだった。
これでようやく実力の差を示すことになり、ルクセンブルグの堅守もゆるなっていく。ポゼッションの核となっていたキヴが御役御免で退いた後も途中出場のクリステアやブラトゥらがシュートを浴びせて、追加点は奪えないものの、もはや試合は決したものになった。ルクセンブルグといえばつねにグループ最弱で5-0や7-0といったスコアが妥当ではあったが、この日はこのまま決定機は訪れずに試合は終了。次節のブルガリア戦に向けて順当な3ポイントを積み上げた。
これで最終2戦への準備は揃った。しかし同日に別会場で行われていた試合でブルガリアが32分のオウンゴールで先制される展開に。ルーマニアが試合を終了した後の88分に同点に追いつくが、ドロー請負人と呼ばれるアルバニアの堅守に苦しめられてそのまま試合は終了。ライバルのブルガリアが自滅という形で控え室で歓喜に包まれるルーマニア選手たち。
この結果グループGでの勝点を26に伸ばしたルーマニアと3位ブルガリアの勝点差が7に広がり、2試合を残してルーマニアの本選出場が決定した。主要国際大会では2000年の欧州選手権以来となり、長きに渡った負のサイクルにようやく歯止めをかけることになった。 |
|
 |
ピツルカへ生き残りのアピール。叶うか本選メンバー入り |
その他の結果
オランダ・ |
2-0 |
スロヴェニア |
アルバニア・ |
1-1 |
ブルガリア |
現在のグループGの戦績
TEAM |
試 |
勝 |
分 |
負 |
得失 |
勝点 |
昇降 |
ルーマニア |
10 |
8 |
2 |
0 |
20:5 |
26 |
 |
オランダ |
10 |
7 |
2 |
1 |
13:3 |
23 |
 |
ブルガリア |
10 |
5 |
4 |
1 |
15:7 |
19 |
 |
アルバニア |
10 |
2 |
5 |
3 |
9:8 |
11 |
 |
スロヴェニア |
11 |
3 |
2 |
6 |
9:14 |
11 |
 |
ベラルーシ |
10 |
2 |
1 |
7 |
11:20 |
7 |
 |
ルクセンブルク |
11 |
1 |
0 |
10 |
2:22 |
3 |
 |
|
|
それにしてもアルバニアの試合振りはある意味で見事。確実に勝てるルクセンブルグにトータル5-0で2勝をもぎ取り、最強と言われたオランダには2敗したがどちらも1点差、格上とされたブルガリアとスロヴェニアには共に2分けずつで4分け、そしてベラルーシにも1分け。これで残るルーマニア戦で負けて、ベラルーシに分ければ、予選突破した2強には4敗するも、確実なルクセンブルグからは取りこぼしなし。自国より強いだろうとされる中堅国のブルガリア、スロヴェニア、ベラルーシから意地で引き分けを勝ち取ったことに。弱いながら自国のファンにはプライドを持って今予選を戦った記録となるでしょう。これを持続すれば次の予選では台風の目になるでしょうね。上記の得失点差を見ても異例中の異例。ありがとうアルバニア。 |
|
|
10月15日 スペイン
レアル・マドリッドがムトゥ獲得を狙う
世界に誇るメガクラブであるレアル・マドリッドがルーマニア代表FWアドリアン・ムトゥを狙っている模様。他にもマンチェスター・シティやバルセロナ、リヨン、ディナモ・モスクワやミランに至るまで、フィオレンティーナのカリスマはヨーロッパ中の注目を集めている。
しかし、フィレンツェの町とチームに強い愛着を持っている本人の意思もあって、フィオレンティーナはこれまですべてのオファーに冷たい回答を返している。フィオレンティーナで2シーズン目のムトゥは今季も素晴らしい活躍を見せていて手放すわけにはいかないのである。
ウェブサイト『SPORT.ES』によれば、最も好条件のオファーを出してきたのはレアル・マドリッド。現在フィオレンティーナから年間150万ユーロ(約2億5000万円)を受け取っているムトゥに対してはその2倍の年俸額、フィオレンティーナに対しては2000万ユーロ(約33億2000万円)の移籍金が提示。
最近ではミランもこれまでになく積極的な動きを見せているようですが、ガッリアーニはロナウドの復帰を期待している。今のところムトゥとフィオレンティーナには、オファーに応じる意志はみられません。
・ |
10月14日 ブカレスト
ゴイアン妻の予想的中
ルーマニアがオランダに勝った昨日の試合。殊勲のゴールを決めたゴイアンの頭に浮かんだのは「あなたがゴールを決めるでしょう」と予言していた妻の顔でした。
『私の人生の中でも最も重要なゴールです。試合の前には妻が何度も言ってましたね。オランダ相手にゴールを決めるのはあなただ、と。彼女のサポートのおかげで私はいつも幸せな気分でいられます。だから試合でダメージを受けてもへっちゃらですよ。』
確かにここ最近の試合で削られたためコンディションが万全ではないと言われていますが、次の試合ではあいかわらずスタメンで起用されているし、負傷しているとは思えないプレーを披露できているのもこの理由からかもしれません。
・ |
10月14日 ブカレスト
導かれた栄光の勝利
前回の2006年W杯予選で2試合とも2-0という完敗を喫したオランダ相手に、今予選で3月のアウェイで脅威の粘りでドローを勝ち取り、昨日の大一番での勝利でついに勝ち越し。しかしピツルカ監督は残り試合も気を引き締めて無敗での首位勝ち抜けを狙う。
『私の目的はこのコンペティションを無敗で終えること。そして可能なら首位のポジションをキープすることです。昨日のオランダ戦では運もあったと思います。しかし強いチームは運すら引き寄せるもの。我々はこれまでトップクラスと言われているチェコ、スペイン、そしてオランダに勝ってきました。日々強くなり続けるチームなのです。』
ルーマニアはこれでオランダに3ポイント差をつけて首位をキープ。残る3試合、特に11月のブルガリア戦に注目が集まりますが、4日後のルクセンブルグにルーマニアが勝利して、ブルガリアがアウェーのアルバニア戦で勝点3ポイントを逃した時点でルーマニアの本選出場が早くも決定します。
『アルバニアで行われる1戦に期待するのではなく、我々はただ単に目の前の敵を倒すことに集中するべきです。多くの人が楽な試合になるだろうと思っていますが、私はそうは思いません。ルクセンブルグは前節でベラルーシから勝利しているし、我々には多くの選手が欠けています。』
ルーマニアは確かにオランダ戦でのイエローカードで出場停止処分となるのがムトゥ(累積消化のための意図的な行為)、ニコリツァ、コドレア。ケガであらかじめ召集されていないのがコマン、コントラ、ロシュ、ラドイ、コチシュと野戦病院化しています。この状況においてピツルカ監督は今回の招集リストから外していたCSKAソフィア所属のフローレンティン・ペトレを追加召集した模様。しかし今までニコリツァという若手の実力者がいながらなぜか右サイドのスタメンを任されていたベテランを今回ようやくピツルカが外す英断を下せたことが評価されていたのにここで一時的な活躍でもしたらまたいろいろ一悶着ありそうです。
・ |
10月13日 コンスタンツァ
2008欧州選手権 予選グループG 第9戦
・ |
ゴイアン、ロボンツが特に目立ったが、選手全員の意思統一が素晴らしかった。前回のオランダ戦の粘りを再現して見せたイレブンは立派につきる。これでグループ唯一無敗。グループ最強。 |
・ |
ファルール・スタディオン |
 |
ルーマニア |
1 |
0−0 |
0 |
オランダ |
 |
1−0 |
D・ゴイアン |
71 |
・ |
ボグダン・ロボンツ
ジョルジェ・オガラル
ガブリエル・タマシュ
ドリン・ゴイアン
ラズヴァン・ラツ パウル・コドレア
オヴィディウ・ペトレ
クリスティアン・キヴ
バネル・ニコリツァ
チプリアン・マリカ
(71分 ダニエル・ニクラエ) アドリアン・ムトゥ
|
GKGK
DFDF
DFDF
DFDF
MFMF
MFMF
MFMF
MFMF
FWFW
FWFW
FWFW
FWFW |
マールテン・ステケレンブルグ
ヨン・ヘイティンガ
(68分 キュー・ヤリエンス)
アンドレ・オーイエル
(89分 ダニー・クーフェルマンス)
ヨリス・マタイセン
ウィルフレッド・ボウマ
クラレンス・セードルフ
デミー・デ・ゼーウ
ジョバンニ・ファン・ブロンクホルスト
ラファエル・ファン・デル・ファールト
ルート・ファン・ニステルローイ
アリエン・ロッベン
(78分 ライアン・バベル) |
ヴィクトル・ピツルカ |
監督 |
マルコ・ファン・バステン |
4-3-3フォーメーション |
・ |
4-3-3フォーメーション |
・ |
警告 |
・ |
ジョルジェ・オガラル(1枚目)
ガブリエル・タマシュ(5枚目)
アドリアン・ムトゥ(2枚目・次節出場停止)
バネル・ニコリツァ(2枚目・次節出場停止)
パウル・コドレア(4枚目・次節出場停止)) |
65
66
75
77
81
87
91
92 |
ルート・ファン・ニステルローイ
ヨリス・マタイセン
ジョバンニ・ファン・ブロンクホルスト |
・ |
ベンチ |
・ |
マリウス・ポパ
ペトレ・マリン
シュテファン・ラドゥ
ソリン・パラスキヴ
ニコラエ・ディカ
フローリン・ブラトゥ |
・ |
ヘンク・ティメル
ウルビー・エマヌエルソン
ナイジェル・デ・ヨング
クラース・ヤン・フンテラール |
|
13日に行われた欧州選手権予選の注目の大一番は、ホームのルーマニアがドリン・ゴイアンのゴールでオランダを1-0で下し、グループGの単独首位に躍り出た。
常に何度も何度もしつこいように「ここがヤマ場だ。」って言ってきた中で迎えた本当の超ヤマ場であるルーマニアとオランダの無敗同士の首位攻防戦。共にテクニカルなプレイヤーを擁し、グラウンダーのパスをつないでリズムを作る両チームを迎えたのは会場であるコンスタンツァの黒海から吹きつける強い風に雨。ぬかるんだピッチは双方の持ち味を完全に否定すると共に前日の22度から8度へと急激に下がった気温も総力戦を想像させるものとなった。
そして両監督を悩ませたのは離脱者の続出でベストの陣容を組めないところにもあった。ルーマニアはケガでラドイ、コントラ、D・コマンが辞退、召集メンバーにもコンディション不良でタマシュ、キヴ、ニコリツァ、ディカが揃う。一方、オランダも累積警告でファン・ペルシ、スナイデル、メルヒオット、直前のケガでファン・デル・サール、カイトが離脱。そして追い討ちをかけるようにバベルが集合時間に寝坊という2度目の規律違反。その結果、負傷明けのため、所属クラブのレアル・マドリーでまだ試合勘が戻っていないロッベンが、午後5時ごろスタメンを急きょ告げられ、控え選手の背番号18を背負って先発するというドタバタ劇が繰り広げられていたのでした。
2000年の欧州選手権以来ビッグトーナメントに縁のないルーマニアだが、今予選では調子がよく、アウェーでのオランダ戦も予想を覆す一丸となった活躍で守りきり勝点1をもぎ取っている。しかし依然として過去オランダとは0勝3分け6敗とルーマニアにとって分が悪い。このときはチームの精神的支柱でもあるキヴをけがで欠いたが、今回の歴史的一戦には間に合った。このキヴをはじめ、黄金世代との比較に苦しめられたこの世代は並々ならぬモチベーションでこの試合に臨んだ。
試合開始からの20分は両チームともに相手にやられないという強い意志の下で慎重に進んでいく。風上のルーマニアは裏に流したボールの勢いに合わせられず、風下のオランダはボールが強く押し戻されるという状況で強風への慣れにより主導権争いが左右された。
前半のオランダはつなぐサッカーを捨てず、ルーマニア陣内に押し込み、ボール支配率7割というパスワークを見せた。しかし対するルーマニアは中盤のポゼッションこそオランダに取られるが、数的有利なDFブロックが跳ね返し、パスカットの山を築いた。特にペナルティエリア内では1人の選手に3人が囲む徹底ぶり。
そんな中での22分にオランダ最初の決定機が訪れた。セードルフのコーナーキックがゴール前フリーのボウマのヘディングを演出。からくもバー上を過ぎていったが、失っておかしくない場面だった。27分には中盤のプレッシャーの中でセードルフの虚をついた振り幅の小さい強烈なミドルがルーマニア右枠内を襲う。ロボンツの俊敏な横っ飛びで難を逃れたがこれも決定的な失点シーン。32分にはペナルティエリア右でボールを受けたファン・ニステルローイがDFをかわし、ロボンツの逆をつく左へのコントロールショット。しかしロボンツの驚異的な反応でこれも弾く危険な時間帯が続いた。
一方、ルーマニアの前半の決定機は43分、タマシュからのロングフィードが大きくオランダ左陣内深くに陣取っていたムトゥに繋がると、そのままペナルティエリア内で一人はフェイント、もう一人は股抜きでかわすと一度はボールを取られるが、すぐさま強引に取り返してシュート。惜しくも外れるが、このストライカーの恐ろしさを伝えるには充分な一連のプレーだった。これで前半は終了。
ファン・バステン監督は「ルーマニアは風下になるから、後半も引いてくるだろう」と読んでいた。しかし後半のルーマニアはむしろ積極的になり、オランダを押し込む展開になった。持ち前のボールを繋ぐサッカーができなくなったオランダは、ルーマニアに対しファウルで対抗するしかなかった。自然とルーマニアはフリーキックが増えていく。これはセットプレー、カウンターから一発を狙うルーマニアにとって有利だった。特にあの戦慄のビッグマンを擁するルーマニアにとっては。
オランダにイエローカードが連発する中でマリカに代えてD・ニクラエを投入した直後の71分、キヴの左サイドからの弧を描くフリーキックにゴール前で合わせたのはコドレア。体勢を崩しながらも放った強烈なヘッドは絶妙な右隅に飛ぶが、相手GKステケレンブルグがスーパーセーブで弾く。しかしこぼれたボールに見事なポジショニングで詰めていたのはセットプレーの鬼、ドリン・ゴイアン。ドイツ戦に続いて得意の頭ではなく足で合わせたボールはオランダのネットを揺らし、均衡を破る念願の先制点。
ここからはオランダの超怒涛の攻撃が始まる。しかし、前半からキヴを中心としたディフェンスを確立してきたルーマニアも真っ向から対峙する。疲れが見えてきた部分もありつつ、こちらも見ていて手に取るようにわかるピツルカ監督のこの状況から交代はできないという判断。もはや選手を信じるしかないという死力を尽くした粘りの様相を呈する長い時間が流れていった。近年のロスタイムに弱いという怖さを残しつつ。
そして粘りのまま突入したロスタイムにやはり危機が訪れる。ロスタイム3分、最後のオランダのプレーで与えてしまったフリーキックに蹴るのは百戦錬磨のセードルフ。彼の選択は意表をつく浮かしたボール。これにいちはやく反応したロボンツが飛び出してパンチング。しかしこぼれたボールの向かう先はスペースの空いたボウマの足元。放たれたミドルはルーマニアDF4人の群がる密集地帯に一直線。誰に当ってもオウンゴールの可能性もあった。しかし飛び出したままのロボンツがすぐさま伸ばした手で微妙に触り、ボールはポストに直撃。TVの角度では触ったこともわからないほどギリギリのスーパーセーブだった。ゴイアンよりも3度の決定機を防いだ彼に一番の賞賛を与えたい。
『この勝利は予選突破に向けて計り知れない前進だ。我々は今まで勝った事のない相手に勝つことができたのだ。』−ピツルカ監督
|
|
 |
2連続しかも歴史的な一発。もはや秘密兵器ではない |
その他の結果
ベラルーシ・ |
0-1 |
ルクセンブルグ |
スロヴェニア・ |
0-0 |
アルバニア |
現在のグループGの戦績
TEAM |
試 |
勝 |
分 |
負 |
得失 |
勝点 |
昇降 |
ルーマニア |
9 |
7 |
2 |
0 |
18:5 |
23 |
 |
オランダ |
9 |
6 |
2 |
1 |
11:3 |
20 |
 |
ブルガリア |
9 |
5 |
3 |
1 |
14:6 |
18 |
 |
スロヴェニア |
10 |
3 |
2 |
5 |
9:12 |
11 |
 |
アルバニア |
9 |
2 |
4 |
3 |
8:7 |
10 |
 |
ベラルーシ |
10 |
2 |
1 |
7 |
11:20 |
7 |
 |
ルクセンブルク |
10 |
1 |
0 |
9 |
2:20 |
3 |
 |
|
|
これで慎重なピツルカ監督が言っていた本選への可能性は90%になったのは間違いないでしょう。それにしても試合前に3人の守備的MFを置く布陣を敷くことを批判されていたことに対して沈黙を守り、試合後に『オランダに相対するにはこれが唯一の策なのです。』と振り返ったこの指揮官は見事。あとオガラルは悪くなかった。マリンよりかは攻守とも評価できる。コドレアはこれからも軸にしていきたい。たとえラドイが復帰しても。一番印象に残っているのはルーマニアのゴールラインギリギリで相手FWに対して厳しい守備を見せていたムトゥでしょうか。チームのカリスマがあれほどのことをできるのは強い証拠。 |
|
|
10月12日 ブカレスト
キャプテン、キヴが語る代表
クリスティアン・キヴはまたインテルとの論争に巻き込まれる様相を呈しています。先日のドイツとの親善試合で肩を負傷し、クラブのチャンピオンズリーグ初戦に出場できなかったことからモラッティの怒りをかったキヴですが、今週末のオランダ戦には完治していない状態で試合に臨むからです。
『予定よりも早く復帰するという責任を僕は負いました。インテルはCLで、代表は欧州選手権予選で共に僕を必要としていたからです。僕のDNAの一部であり、犠牲なんかではないです。ただ僕は後悔したくなのです。チームに手を貸し、支えてくれるサポーターたちを満足させる方が素晴らしいことですよ。』
ドイツ戦のケガについて
『僕だって肩を負傷したのはとても残念に思いました。でも、親善試合だったとはいえ、僕は常に代表でプレーしてきました。それに、相手はドイツだったのですよ。ドイツとの一戦をただの親善試合と考えられるものでしょうか・・・。僕はむしろ、選手が代表に別れを告げなければいけなかったり、リーグ戦を休まなければならなくなる状況を避けるための解決策を見つける必要があると思うのですが。』
オランダ戦に向けて
『このような状況で監督が召集してくれたのは嬉しい限りです。必要であればセンターでも、サイドでも、MFだってやりますよ。我々の世代はこの一戦に戦う意味があります。ビッグトーナメントを経験できる最大のチャンスなのです。しかしこの後にもルクセンブルグ、ブルガリア、アルバニアと予選は続くのです。ここでは9ポイントが得るチャンスがあります。しかしプレーする前からそれをすでに得たものとして考えてはならないのです。だから今回だけ重要視するということはしたくありません。我々は次の夏に本選の舞台に立つに相応しい実力を持っています。それに値する良いチームです。技術的にも才能ある選手が揃っていますし、これまでの試合を経て成熟というレヴェルにまで成長しました。期待してくれているファンのためにもぜひ本選には出場しなくてはいけませんし、我々の世代にとっても今回は大きな達成を手に入れなくてはいけません。』
・ |
10月10日 イングランド
ムトゥへプレミアクラブからのラブコール
マンチェスター・シティは現在好調をキープしているフィオレンティーナ所属のルーマニア代表アドリアン・ムトゥを新たな新戦力として見なしているようです。
ムトゥは先シーズンと今シーズンでフィオレンティーナで再度評価を上げて、代表でもその得点力でチームを欧州選手権グループ予選においてオランダを抑えて首位を維持しています。その活躍からあのメガクラブのバルセロナも獲得を検討していると報道されています。
そこでタイの実業家タクシン元首相が新会長となったシティのスベン・ゴラン・エリクソン監督がその金銭バックアップにより、獲得を熱望しています。
しかしムトゥはかつてのイングランドでの失敗、そして現在の好調で去る理由がないときっぱりと拒否しています。『シティがオファーしているのは事実です。しかし即座に断りましたよ。もうイングランドには何の興味もありません。失望だけが残っています。プレミアでプレーすることはもうないでしょう。終わったことなのです。』
・ |
10月8日 ブカレスト
2008年欧州選手権予選 第9試合オランダ戦 2008年欧州選手権予選 第10試合ルクセンブルグ戦
・ |
ピツルカ代表監督は今月13日の欧州選手権予選オランダ戦と17日のルクセンブルグ戦に向けて国内クラブ所属メンバーを発表しました。既出の海外メンバー発表からやはりコンディションが間に合わずコントラが離脱しました。まだマリンというコマは残っているもののオガラル起用への可能性が高まりました。ストイカは今回も直前で落とされています。長らく司令塔を使わない布陣で固めた代表システムにおいてギャンブル的要素があるためしばらく当落線上の扱いは続くでしょう。格下、同レベル相手では充分に機能しますが、強豪相手になると常に強力FW陣が孤立するという懸念に対しては解決策にはなりそうですが。またリーグ戦でケガと報道されていたタマシュとキヴもいちおう外されずにいます。ゴイアンの頭角によって厚くなったセンターポジションもラドイに続いて2人も離脱するとなると心配でしょうがありません。
しかし今日のプレスカンファレンスではキヴのケガは他にはなく、肩の脱臼だけだそうで、タマシュに関してもヒザをひねったという報道は間違いで相手の強烈なエルボーをくらった様子。現在は痛みはないようなので一安心です。
『カカトを少しうったのでナポリ戦は万一に備えて後半は出なかっただけです。土曜日の試合においては問題はありません。脱臼した肩も日に日に良くなっています。しかし代表合同練習と試合中は肩を固定してなくてはいけないでしょう。左手を使わないことに慣れなくてはいけませんね。』−キヴ談
国内組ではニコリツァもケガで微妙らしいです。そのため国内に戻ってからFWから攻撃的MFへのコンバートで好調のブラトゥを3年ぶりの驚きの召集。ただしAD・クリステアがムトゥ、ディカに続いてのスタメン候補となるためオプションとしての召集かと思われます。ドリネルに関しては以下の声明がついに出されました。
『ドリネルはいままで代表を助けてくれました。しかしもはやこのようなレベルでは体力的に難しいですね。すでに彼とはこの件について話を済ませています。彼自身もこの厳しい状況で起用されるのは望んでいないでしょう。もし最終戦のアルバニア戦を前に予選突破決定を果たしたら、その試合で彼を招集する予定です。』−ピツルカ監督談 |
・ |
GK・ |
所属 |
生年月日 |
|
CAP |
ボグダン・ロボンツ |
ディナモ・ブカレスト |
1978.01.18 |
(29歳) |
57/0 |
マリウス・ポパ |
ポリ・ティミショアラ |
1976.04.12 |
(31歳) |
0/0 |
DF |
|
|
|
|
クリスティアン・キヴ |
インテル(ITA) |
1980.10.26 |
(26歳) |
53/3 |
ラズヴァン・ラツ |
シャフタル・ドネツク(UKR) |
1981.05.26 |
(26歳) |
42/1 |
ガブリエル・タマシュ |
オセール(FRA) |
1983.11.09 |
(23歳) |
25/1 |
ジョルジェ・オガラル |
アヤックス(NET) |
1980.02.03 |
(27歳) |
1/0 |
ドリン・ゴイアン |
ステアウア・ブカレスト |
1980.12.12 |
(26歳) |
13/2 |
ペトレ・マリン |
ステアウア・ブカレスト |
1973.09.08 |
(33歳) |
9/0 |
シュテファン・ラドゥ |
ディナモ・ブカレスト |
1986.10.22 |
(20歳) |
6/0 |
マリウス・コンスタンティン |
ラピド・ブカレスト |
1984.10.25 |
(22歳) |
2/0 |
MF |
|
|
|
|
パウル・コドレア |
シエナ(ITA) |
1981.04.04 |
(26歳) |
30/1 |
ソリン・パラスキヴ |
リミニ(ITA/2DIV) |
1981.06.17 |
(26歳) |
4/0 |
ニコラエ・ディカ |
ステアウア・ブカレスト |
1980.05.09 |
(27歳) |
20/4 |
オヴィディウ・ペトレ |
ステアウア・ブカレスト |
1982.03.22 |
(25歳) |
17/1 |
バネル・ニコリツァ |
ステアウア・ブカレスト |
1985.01.07 |
(22歳) |
15/1 |
アドリアン・クリステア |
ディナモ・ブカレスト |
1983.11.30 |
(23歳) |
4/0 |
アンドレイ・マルガリテスク |
ディナモ・ブカレスト |
1980.01.01 |
(27歳) |
1/0 |
FW |
|
|
|
|
アドリアン・ムトゥ |
フィオレンティーナ(ITA) |
1979.01.08 |
(28歳) |
57/27 |
チプリアン・マリカ |
シュツットガルト(GER) |
1985.10.02 |
(22歳) |
17/5 |
ダニエル・ニクラエ |
オセール(FRA) |
1982.10.06 |
(25歳) |
16/2 |
フローリン・ブラトゥ |
ディナモ・ブカレスト |
1980.01.02 |
(27歳) |
9/2 |
ゲオルゲ・ブクル |
ポリ・ティミショアラ |
1980.04.08 |
(27歳) |
6/2 |
|
・ |
10月7日 イタリア
過去があり、今がある
フィオレンティーナ所属のルーマニア代表FWアドリアン・ムトゥはあの一大スキャンダルの黒幕として失脚したユベントスのルチアーノ・モッジを自身のチェルシー時代のドラッグスキャンダルから抜け出させてくれた恩人として崇めているようです。そして現在のクラブでの好調ぶりを満喫しています。
『あの偉大なクラブと役員たちには今でも感謝しています。特にモッジは私のこれからのサッカー人生が見えないという難しい時期に再度チャンスを与えてくれたし、全てを変えてくれました。あのスキャンダルでクラブはセリエBに降格、役員達は去ってしまいましたが、私にはフィレンツェという素晴らしいクラブで新たな人生を送るチャンスを与えてくれました。』
『現在はこのクラブで2011年までの契約の下、自身のプレースタイルも取り戻し快適に過ごしています。ぜひクラブに念願のスクデットをもたらしたいし、代表でもワールドカップを経験してみたいですね。私の最後のビッグトーナメントと言えば2000年の欧州選手権しかないし、それも消化不良に終わっていますからね。いずれは監督もしてみたいですね。それも将来の夢の一つです。』
・ |