Romanian Soccer Today 2009.5
5月23日 ギリシャ

  ディカがギリシャのイラクリスへ

 今期に満を持してステアウアからイタリアのカターニャに移籍しながら、盟友だったはずのゼンガ監督からも前半戦に2試合出場したのみで失格の烙印を押されて完全に干されていた元ルーマニア代表ニコラエ・ディカはギリシャリーグのイラクリスへの1年レンタルが決定した模様。

 『ギリシャに来ることができてたいへん嬉しく思う。イラクリスはなかなか力のあるクラブだと知っています。とにかく今の私はプレーしたい気持ちでいっぱいなのです。そして多くのゴールを記録して自身の価値を示したいのです。またこのクラブを選んだのはプロタソフが監督を務めているというのも大きな要因でした。彼とはステアウアでも共に仕事をして良い時間を得ることができたからね。』

 ディカに対してはいくつかのクラブが獲得に名乗りを上げていましたが、カターニャが獲得時の高額移籍金を回収できないようなオファーには一切首を縦に振らなかったので実現していませんでした。しかしミレル・ラドイが仰天の移籍をしたサウジ・アラビアのアル・ヒラルからはオイルマネーでかなり良い条件でのオファーがあったようです。その時にもディカは

 『とにかくプレーできるなら即座に合意したい。かつてステアウアで一緒にプレーしたミレルがいるのも心強いからね。しかしクラブにはすでに外国籍の選手が3人いるようで、誰かを放出してからの話にはなるだろう。』

 というようにもうどこでもいいからクラブを出て行きたいという一心だけで過ごしていました。
5月22日 ブカレスト

  ヨンクマ的ルーマニア代表のポジション考察(4-4-2編)

 このたび失望の周期から新たにルーマニア代表の方向性が海外メンバー発表によって示されましたが、まだラズヴァン新監督自体も試行錯誤の第1歩に過ぎません。

 ムトゥ、ニク、コドレアが怪我で離脱とはいえ、海外から7人という近年稀に見る少なさから国内の新風へ目を向けているのは明らかになっております。そして難しいところでは今までの監督交代劇では本戦までギリギリ1歩届かず、しかし予選の3位は確保といった予選終盤のところからであり、まさに新戦力をテストするところからとしてはうってつけのシチュエーションで始められたのですが、今回は半分の予選を残すという失態であり、なおかつ順位も最下層ということで、次の大会予選の組み合わせに影響することから、そのために全力で勝ちまくって最終的に3位を狙わなくてはいけないという悲しい状況です。

 よって今まで起用されていなかった中から、将来的な若手と即戦力のベテランを同時にチョイスしていくことが求められます。ここで今までの不運が逆に幸運になっているのが、実力がありながら召集されずといった試すべき選手が多く残っていることです(ピツルカが順当に選んでいればその不運はなかったというのがミソですが)。

 ちなみに国内メンバーの予想は
GK:コマン、パンティリモン、ボルネスク
DF:オガラル、マフテイ、ダナナエ、ゴイアン、ガラマズ、タマシュ、ラトフレヴィッチ
MF:マーラ、ロマン、ラザール、アレクサ、タナーセ
FW:ブクル、ダンチウレスク、ニクラエ

 ここに実際にガゼタで国内メンバー発表前に予想されているメンバーと照らし合わせて私の理想も含めて考察していきたいと思います。

 まずラズヴァンが公言している4-4-2で話を進めると、GKのコマンは順当といえる選出でしょう。もちろんロボンツが離脱という現状の前提ではありますが、ロボンツを第1として第2のコマンはブランクがあるもののクラブの飼い殺しでポジションを失ったという経緯が大きく、ブラショフでラズヴァンの指導の下にいたのも大きい。ロボンツと若手との間に大きく開いている差を埋めるには適任と言えます。第3はパンティリモンで、長寿のGKというポジションがら焦らずに世代交代でいいでしょう。この3選手で結果優先、テストマッチなどケースに合わせて使い分ければ問題なしかと。

 右サイドは文句なしサプナルで決まり。現在のクラブでの実績は申し分なく、過去においても元々の実力で順当だったはずであり、理想ではユーロ2008でも経験度からしてオガラルのスタメンでサプナルが控え、第2、3戦で1試合はサプナルをスタメンにして様子を見るというのが1番でしたが、ピツルカのせいでその優先度はグチャグチャになり、オガラルも早くも全盛期が終わってしまったことから他の追随を許さないでしょう。またセンターと左サイドでも使える利便性も大きい。サプナル安泰でいけるとこまでいって欲しい。サブには妥協のオガラルで復活待ちでしょうか。

 センターにおいてはまずユーロ2008までは絶賛されたゴイアンとタマシュの解体が至上命題。今予選においての問題点はムトゥ頼みの攻撃陣よりも、5試合で10失点した守備陣であり、また数字以上にそのプレーぶりがあまりにお粗末なタマシュは代表レベルにはほど遠いものであります。タマシュのスタメン起用=3失点は覚悟ぐらいの戦犯に成り下がりました。そして本戦時はタマシュと共に好評価を得ていたゴイアンはそれに引っ張られるように得点力と共にかつての輝きが消えました。ただゴイアンについてはキヴやラドイと組ませればまだ安定の余地はありそうです。よってまず鉄板なのがキヴのセンター起用。もともとタマシュとゴイアンの好調で組まれた奇策のMF器用だったのでそれが機能しない限り元に戻すのは妥当な選択。またMFのポジションもギオアネという絶対的な存在が復帰したことでこの再コンバートのデメリットも少ない。あとはラドイの起用法次第でしょう。DFでもMFでも安定が図れるその存在はそのつどのバランスで見れば良いでしょう。DFを鉄板にしたいのであればキヴと組ませ、MFを鉄板にならギオアネと組ませるといったような。ゴイアンの守備と得点力が復活し、MFのギオアネのパートナーとしてコドレア、ラザールが安定力を発揮ということが同時に発生した場合は嬉しい悲鳴でラドイの起用法に悩むことでしょうね。現状ではセンターのマイナスイメージを払拭するためにはガゼタどおりが理想。

 左サイドについては嬉しい悲鳴というか抜きん出た存在がいないので、現状のままであればラツで無難といったところ。しかし将来の展望やさらなるレベルアップを施すならば戦術次第でシュテファン・ラドゥとセプシと合わせて3選手で競わせたい。ラツにおける功罪は経験における慣れとオーバラップ時の攻撃パターンと比較して長年やはり言われ続けているように守備力の疑問でしょう。格下相手なら十分ですが、強豪相手になると敵からも指摘される穴であり、実際に2005年のオランダ戦でもそれを懸念したピツルカによってP・マリンにとって代わられるほどです。これに比べるとラドゥは守備力では高いものがあり、センターもできる利便性も試合中のスライドで生きるし高身長も申し分ない。ただ縦のオーバーラップにはラツやキヴの若い頃と比べてまだ未知数な部分があるため、攻撃のオプションが減ることは否めない。セプシだとまずその全体的レベルの度合いは伸びしろを必要とするものの、左サイドバック、センター、左サイドハーフ、守備的MFと4つのポジションブロックをカバーできるため、攻守のバランスでは1番良いのかもしれません。攻撃でラツに、守備でラドゥに劣っているものの今期のラシンでの順調さから試す価値はあります。またセンターの台所事情としてタマシュだけでなくゴイアンも不確定要素となってしまったため人材不足。代表ではラドゥをディナモ時代のセンターとして育てて、左サイドはラツとセプシの2枚看板でいって欲しい。

 守備的MFはギオアネで文句なく決定。広い視野と多くのポジションをこなせる利便性、経験といままでこのポジションに欠けていたものを持った選手がようやく正しい場所に戻ってきたと言うべきでしょうか。パートナーとしては今のところは私はコドレアを推したい。実績が大きいしここで地味な選手が利いてくる感があります。しかしコドレアと同等か、またはそれ以上のポテンシャルがあると噂されながらピツルカに無視されていたラザールとアレクサも見てみたい。3人のうち誰でも文句はない。ただベストはキヴとのセンターバックに誰かが名乗りを上げて、ラドイをギオアネと組ませるのがいいかなと。これも代表の成長度次第。

 右サイドハーフは今更ながら守備的能力のニコリツァにこの攻撃的ポジションの1枠を割く愚挙は必要ないし、コステアについても所詮は代表レベルの能力ではない国内限定のラドゥカヌ状態であるからこれ以上のチャンスは無駄であるとしたほうが良い。スタメンに起用するレベルではないが、ニコリツァはサブとしての守備ポイント起用が望ましいでしょう。試合が始まる前からこのポジションからの積極的な攻撃の可能性が薄くなるという後手のセレクションは点を取って勝つというモチベーションにまで影響することになり、コステアは海外に出てからその調子を見るのが得策といったところ。まず第1候補としてはマキシミリアン・ニクがリードしているのは明らかで、まだ代表における活躍度という点では未知数でありますが、圧倒的なライバル不在とブンデスの名声がそうさせてしまうのです。試してみたいと思わせる存在には変わりないです。近年、確立していなかったために不確定要素なポジションとなりますが、要素としての前提で挙げればトルジェとズィクをピックアップ。ズィクは海外で失敗したような印象はあるものの、当時のインテルとパルマはすでに戦力構想ができあがった段階での加入で起用法にも制限された感があり、急激なステップアップでの不運とでも言うべきでしょうか。国内ではディナモとラピドでキングとして君臨した能力は捨てがたいし、代表復帰してケガで離脱するまでのスロヴェニア2連戦では十分に代表レベルであることを証明して見せたのも大きい。しかしズィクにおいてはあくまで重傷からの復活の度合いによるということを付け加えておかねばならないでしょうね。そこでもう一人のディナモヴィストのトルジェを起用したい。はっきり言って見てみたいという私情を挟んだものが大きな割合を占めていますが、雰囲気的に今使わないと2年後とかには下降している可能性もありうる存在で、全盛期のミテアを凌ぐのではないかとも思わせてしまうギャンブル的要素に溢れているのです。今回はベテランのマーラを8年ぶりに代表復帰させるようですが、国内の活躍がどれだけ代表に還元できるかは不確定要素。それでもラズヴァンの意向は支持していきます。使うならスタメンで2試合計90分ぐらいは起用して欲しい。ピツルカみたいにピンポイント召集で起用せずみたいなはっきりしないことはやめていただきたい。

 左サイドハーフにおいては異論なしでムトゥでしょうが、このフォーメーションになるとちょっと変わってきます。たとえばコステアが期待どおりに成長したとしても、コステアをここに据えてムトゥをトップに上げるというのはスタイルかぶりで疑念があるのは否めません。しかし失望の中から唯一の収穫だったタナーセのあの働きぶりであればここに置いてみたい。ムトゥは3トップから2トップスタイルになったこともあり、もっと前線に近いところで活躍させるのが得点を考えるとベストと思えます。コステア、ムトゥに比べてここ最近のタナーセのダイナモぶりは左に限らず、中盤の底でさえも攻守に渡って貢献できると信じてやみません。ムトゥのここからのチャンスメイクで2トップが仕上げるという図式はFWが確立していないため可能性は薄く、これがムトゥの無駄なボールキープにもつながりムトゥ頼みと言われる所以と捉えています。ここでタナーセがサイドだけでなく中央にも求める動きでチャンスメイカーとなりマリカとムトゥのコンビで決定的仕事をまかせるのが近道なのでは。なので今回のガゼタの予想には支持。もちろんマリカに次ぐFWが現れればムトゥを戻してもいいと思う。クルテアン、コステアは海外に出て切磋琢磨してからがエントリー候補となるでしょう。どんなに国内のゆるいDF相手に活躍してもそれは世界的にはニュースにもならないことですから。

 トップの一人はマリカを置く。賛否はあるかもしれないレベルまで追い込まれてはいますが、クラブとは違ってまだムトゥとのコンビは捨てがたいし、逆に言うとそれ以外の頼れるFWがいないということで安泰でしょう。次に続くはブクル、マリウス・ニクラエとなっており、ブクルは相変わらずの国内でスピードスターとして量産体制。マリウスも圧倒的なフィジカルと決定力で得点ランキングの上位につけている。ただし現時点での代表戦を見ると二人とも海外レベルでは難しいのではないかと疑いたくなってくる場面も多い。ブクルについてはそのスピードは魅力であり、代表攻撃陣のアクセントとなりうるので新しい指揮官の下でムトゥ、マリカとの連携を磨けば可能性はあると思います。現在では消えている時間帯が多いのが気がかりではありますが。マリウスについてはこう着状態での後半でロングボール対策としてサブには控えておいて欲しい。確かに若き頃に定評のあった柔らかい足元のボールタッチはときおり見られるものの、すでに粘りとスピードがないために倒れてPK狙いみたいな見苦しいシーンの連続に限界を感じてしまいます。代表ではポストプレーに徹すれば光明が開けるか。2、3試合はどちらかを試してだめだったら後半からムトゥを上げてタナーセ投入で打開していくのもいいでしょう。メリハリとビジョンのある起用を望む。
5月22日 ブカレスト

  2010年W杯欧州予選 第6試合リトアニア戦

海外メンバー発表

  
 ルーマニア代表のラズヴァン・ルチェスク監督は来月6日に控えた初陣となる2010年W杯欧州予選リトアニア戦の海外メンバーを発表しました。今まで長きに渡って疑問符の付く人選を行ってきたピツルカに変わって、やはり期待通りの選出がされています。ロートルのコントラがカットされ、実力の申し分ないサプナルが選出。同様に2大ロートルのもう一人のF・ペトレもカット。そしてどう見ても人材難における穴埋めとしての実力しかないなくかつてのフローリン・ショアヴァ的な存在でありながら、ピツルカの庇護の下スタメンにいたずらに名を連ねていたコチシュも大胆にカット。サブとして残してもいいかなと思いつつも尊重できる人選ではあります。そしてこちらも同様にその価値が懐疑的だったマズィルも正当な判断により構想外となりました。一番の収穫はギオアネでしょう。こちらはもう多くは語りません。

 一方、実力的には合格ラインから今回外された選手も何人かいます。ムトゥはご存知のようにケガ。コドレアについてはラズヴァンは明言はしておらず、サンドゥ会長が評するには「コドレアでは多くのことを期待するまでのレベルにはない。」とのこと。しかし未確認ながらシエナでのケガがあったようでこれが原因かとも言われています。今回からは正当な人選がされることからギオアネ、ラザールに次ぐ3番手ぐらいの評価とされています。おなじくサンドゥはコチシュについても言及しており、「彼は代表レベルにはない。」とのことです。

 ニクはリーグ戦でしばらく戦列を離れており、現在はコンディションで安定していないことから今回は選ばれず。しかしラズヴァンもニクについては「彼は体調の部分でまだプレーできる状態なのか不確定なので呼びませんでした。しかし構想に入っているので心配せずにいるようにと伝えてあります。」とのことです。


 DF  所属 生年月日 CAP
 クリスティアン・キヴ  インテル(ITA) 1980.10.26 (28歳) 63/3
 ラズヴァン・ラツ  シャフタル・ドネツク(UKR) 1981.05.26 (27歳) 56/1
 ミレル・ラドイ  アル・ヒラル(S.A) 1981.03.22 (27歳) 52/1
 ミハイツァ・ネシュ  ユトレヒト(NED) 1983.02.19 (26歳) 6/0
 クリスティアン・サプナル  FCポルト(POR) 1984.04.05 (24歳) 3/0
 MF
 ティベリウ・ギオアネ  ディナモ・キエフ(UKR) 1981.06.18 (26歳) 11/1
 FW
 チプリアン・マリカ  シュツットガルト(GER) 1985.10.02 (23歳) 31/11

5月16日 ウクライナ

  ギオアネが当然のように代表復帰濃厚

 ラズヴァン・ルチェスク体制となったルーマニア代表は示唆していたようにディナモ・キエフ所属の元ルーマニア代表ティベリウ・ギオアネの4年ぶりの代表復帰が確かなものとなったようです。

 今シーズンのリーグ優勝を決めたキエフのギオアネは今週すでに電話で新監督との話し合いを済ませ、ラズヴァンの描く代表プランの中心にあることを告げられ、ギオアネ本人もその戦力として代表にはせ参じることを決めた様子。

 ギオアネはユース代表時から将来の主力として見込まれ、2001年にボローニ監督によってフル代表にデビュー。すぐさまレギュラーとして活躍し始めるが、2003年欧州選手権予選の大一番デンマーク戦でベテラン重視のヨルダネスクによってA代表には召集されずユース送りになる。勝っていればベテラン重視も納得いくものだったが、その試合でまさにその下降線をたどっていたベテランが戦犯となり大敗。その決断に反旗を掲げたギオアネは以降の度重なる説得にも応じず、ヨルダネスク監督が退陣するまでの残り1年半の18試合を拒否し続けた。

 アルメニア戦の体たらくによってヨルダネスク政権が崩壊した後のピツルカ政権ではピツルカが改革の第1歩として名指しでギオアネの代表復帰を掲げ、その新監督の誠意に賛同したギオアネは三顧の礼で迎えられた。しかしピツルカの初陣となる2005年2月のスロヴァキア戦の直前に脳梗塞に陥り、選手生命どころか生命の危機まで報じられる。後に不測の事態は避けられることが判明し、2ヶ月後のピツルカ第2戦目となるワールドカップ予選大一番のオランダ戦でついに2年ぶりに代表復帰となった。しかしこの試合で開始1分にポジションミスによりマークしきれなかったコクーに失点を許して前半で交代。この後はこのミスによる鬱状態と脳梗塞の影響からのコンディション不良が重なり、クラブでも約1年間に渡って一切プレーしなくなる。

 引退も危惧されたが、クラブの厚いフォローによって徐々に回復していくと再度キエフの主軸として君臨し始めてチャンピオンズリーグでも申し分ない復活劇を見せた。2008年欧州選手権予選を戦うピツルカ政権にも召集の機運が高まるが、すでに代表はメンバーを固定して戦う熟成路線で好調段階にあったため、また鉄の意志で個人の実力より好みで召集し、へたに新戦力を入れないことを確立していたピツルカには召集されず。しかしピツルカも次回予選からは戦力として構想に入れることを明言していたことから、たとえ慢性的守備的MFの人材不足が叫ばれている代表ながら、この時期のメディアや世論の糾弾はある程度の範囲で治められた。

 しかし本戦終了後に明けたワールドカップ予選には期待されたギオアネの名は召集リストには載っておらず、クラブで圧倒的な存在感を示していたギオアネを召集しない理由は誰にも説明できない状況に。その人選はギオアネ以外にも順当と言い難い偏った方向に進み、成績が伴わないことも当然のこととして様々な面でピツルカ対メディア及び世論はもはや修復不可能になった。

 ギオアネに関しては元々フォローしていた存在だったこともあり、またギオアネからも反論的なものが発せられなかったことから表には出ないなんらかの理由が存在するのではとも噂されていた。しかし今回のラズヴァンの呼びかけにすぐさま応じたことから、「メンバーの誰かとの確執」「公にはしないがクラブと代表を両立できるまでのコンディションには不安」等の考えは全て虚構だったことが判明。ただ単にピツルカとの静かな確執であり、ギオアネが反論等をせずに頑固な子供に対して大人の態度で平静を保っていただけということに。

 すでに27歳となったギオアネはこの「ヨルダネスク」「脳梗塞」「ピツルカの偏った構想」の3つのキーワードによって、21歳からの6年間を2005年のオランダ戦45分間しか出場できませんでした。欠場した試合は63試合。逃した予選は3度。もしギオアネがいたら僅差で逃した2004、2006の大舞台はどうなっていたでしょうか。もちろんわかりませんが、実力を伴いながらここまで人生を翻弄された選手がついに帰ってきます。今は代表の行く末よりもそれだけが嬉しいのです。
5月13日 ドイツ

  マリカのゴールで優勝争いに留まる

 ここまでチームは好調なのに個人としては不遇をかこっていたルーマニア代表チプリアン・マリカはブンデスリーガ第32節シャルケ戦で貴重な決勝点を奪い、なんとか優勝争いに踏みとどまっています。

 シャルケのホームで行われた一戦はカカウのゴールで16分に先制したシュツットガルトが、39分にイバン・ラキティッチに同点とされたものの、後半12分にヒツルスベルガーが放ったミドルシュートにシャルケのGKノイヤーが必死にブロック。そのリバウンドボールに一足早くつめていたマリカが押し込んで決勝点となりました。

 過去8試合で7勝1分けという戦績を残しているシュツットガルトは、2試合を残して依然4位ですが、3位のヘルタ・ベルリンとは勝ち点1差、その上のバイエルン・ミュンヘンとヴォルフスブルクには2差と混戦になっています。また今節の上位3チームはすべて勝利していることから、脱落ゲームになるところをマリカが救った形になったようです。

 しかしここまでチームのエースであるマリオ・ゴメスが23ゴールで得点ランクのトップに立ち、ここ8試合での快進撃でも9ゴールを決めている一方で、マリカは交代枠としての第3FWの位置が当然となり、今シーズンはたったの2ゴールという寂しい結果になっています。ちなみにこのシャルケ戦はゴメスの不出場により代役。残り2試合を残して混沌としたリーグで優勝に導くプレーを見せれば、その記憶に残るプレーとしていままでの体たらくが帳消し、うまくいけば救世主としての可能性が残されています。
5月11日 ブカレスト

  ラズヴァンの初仕事

 新しくルーマニア代表の監督に就任したラズヴァン・ルチェスクは先週末に初仕事のイタリア来訪を終えて今日無事に国内に戻ってきました。

 まずは代表のリーダーでありながら最近はケガで大事な予選を欠場していた(そのケガでの欠場が予選敗退を導いたとも言われる)インテル所属のクリスティアン・キヴとフィオレンティーナ所属のアドリアン・ムトゥの調子を見るために訪問。そしてシエナのパウル・コドレアとは電話でいくつか会話を持ったようです。

 『すべて週末に終えてきました。まずブラショフのリーグ戦の後にイタリアに渡り、代表の核をなす選手といろいろ話し合ってきました。とても有意義な時間を過ごすことができ、できればもっと多くの選手とこのような時間を持ちたいですね。ムトゥはリハビリ段階から抜け出しつつありました。あと少し時間が必要な感じではあったので、クラブには慎重な対応を求めてほしい。彼は代表において重要な選手であり、海外でのプレー経験が多い選手は代表チームの基礎となるでしょう。だからと言って国内の若手を軽視しているという意味ではありません。』
5月10日 ロシア

  パンクがロシアで復活の兆し

 一方こちらは冬からの開幕のため、リーグ第8節の開催となったロシアリーグではテレク・グロズヌイ所属の元ルーマニア代表ダニエル・パンクが2得点を決めてドローに持ち込みました。

 アムカル・パームをホームに迎えたテレクはまず開始早々2分にパンクがチームメイトのゲオルギエフが得たPKを決めて先制。その後は27分、45分と立て続けにクシェフに2得点を奪われて前半のうちに試合をひっくり返されるものの、試合終了6分前にまたもやパンクがこの日2点目となる得点を決めてなんとかドローに持ち込んでいます。ちなみにペトレは先発して75分に交代。マルガリテスクは出場していません。これでチームは11位ながらパンクは得点ランク現在4位の3得点。というよりもトップが5得点という守備的な現在のロシアリーグ。

 またロコモティブ所属のコチシュがフル出場もFKモスクワにアウェーで引き分けて10位。ディナモ・モスクワのロポタンはコンディション不良で出場は無し。こちらは9位となっています。
5月9日 アゼルバイジャン

  世界の片隅で叫ぶ

 5月に入り、各国リーグもいよいよ終盤となってきましたが、熱き西欧のリーグ以外でも細々と長き今シーズンが終わろうとしています。それは今期途中から国内を離れてキャリアの総決算として遠き僻地のアゼルバイジャンに渡った二人にも同様なのです。

 共に元代表のマリアン・アリウツァとアドリアン・ネアガが所属しているネフツチ・バクーは残り2試合となったリーグ第25節でアリウツァが1得点、ネアガが2得点を決めてホームの最終戦バキリ戦を3-0の勝利に貢献しています。特にアリウツァの先制弾は40メートルの鮮やかなロングシュートだったらしいです。

 次節が最終節となりますが、すでに順位の変動はなく、ネフツチは10位と平凡な成績で終わりました。アリウツァは6試合2得点1アシスト、ネアガは12試合5得点5アシストと物足りない感もありますが、一応ネアガはチームのベストプレイヤーとして評価されているようです。
5月6日 ウクライナ

  毎年ながらムトゥ獲得レースが開始

 ミルチェア・ルチェスク率いるウクライナのシャフタル・ドネツクは来期のチャンピオンズリーグ本戦に向けて、フィオレンティーナのアドリアン・ムトゥを札束攻勢で狙っている模様。

 ムトゥに関してはいまだにビッグクラブからのオファーが絶えない状態で、本人も繰り返し残留を明言していますが、かつてのチェルシーからの多額の違約金が迫られたことからよりよい条件の契約を結ぶために移籍もやむなしとも噂されています。またイタリアでの状況も微妙に変化し、得点率こそリーグ屈指であるものの今期はケガに苦しみ、ムトゥ不在でもチームは安定した成績を維持しています。また加入したジラルディーノが復活したことからもはや絶対的存在ではなくなってもいます。不確定な噂としてもチームメイトとの不和が伝えられていることも難しい状況となっていました。

 フィオレンティーナは度重なる負傷に苦しめられたムトゥについて、手術を施した嚢胞の痛みが復帰の妨げとなっていたものの、この困難を克服したと公式に発表。クラブは2週間後の試合で復帰する可能性を示唆していますが、リーグ戦の最終節ミラン戦で復帰せずに本拠地アルテミオ・フランキのピッチに戻らないままの移籍すら現実味を帯びています。

 現在ムトゥはシャフタルの他にブンデスリーガ首位のヴォルフスブルグからもオファーが届いており、シーズン後の去就が注目されることでしょう。
5月3日 ウクライナ

  ギオアネの活躍でキエフがリーグ制覇に王手

 7日にリーグのライバルであるシャフタル・ドネツクとUEFAカップの準決勝という舞台で戦うことになっているディナモ・キエフは先に迎えたリーグ第26節ゾリャ・ルハンシク戦で勝ちを収めてリーグ制覇に近づきました。

 この日のアウェーでリーグ独走のキエフは格下のゾリャということもあって、得点ランク上位の2トップであるバングーラとアリエフがたびたび決定的チャンスを迎えましたが、相手の堅守もあってまさかの前半スコアレスでの折り返し。しかし後半開始7分にサイドからのクロスに混戦の中で思い切って放ったギオアネのオーバーヘッドが鮮やかに決まってようやく先制。結局はこの1点を守りきってディナモが貴重な勝ち点3を得ています。

 ここまで好調なディナモ・キエフはリーグ2位のシャフタルに12ポイント差をつけての堂々の首位。残り4試合で1ポイントでも取ればリーグ制覇が決まります。ここまでキエフは得点ランクにバングーラとアリエフが12点ずつで2位、ミレフスキも9得点で6位につける攻撃陣の活躍で躍進しています。しかし守備的ポジションながら6得点を決めて得点ランク11位につけているギオアネの攻守に渡る活躍も忘れてはいけませんね(このような上質の選手を代表に召集しなかった人がいることが驚き)。




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