Romanian Soccer Today 2008.6
6月28日 イタリア

  カターニアがルーマニア代表ディカを獲得

 イタリア・セリエAのカターニアは今回の欧州選手権本戦にも出場したルーマニア代表MFニコラエ・ディカをステアウア・ブカレストから獲得した模様。移籍金は200万ユーロ(約3億4000万円)で、年棒150万ユーロ(約2億5000万円)の4年契約になる見込みです。

 現在の監督であるワルター・ゼンガがかつてルーマニア国内のステアウア・ブカレストを率いていたころからディカの能力には脱帽しており、早く国外で活躍の場を求めるよう推していました。当時はアストン・ビラやベンフィカなどの中堅クラブがこぞって狙っていましたが、ベカリ会長の法外な移籍金要求のせいでどれも実現しませんでした。予選終盤から本戦にかけてディカは以前ほどの活躍を見せることができておらず、明らかに評価を落としたため、ベカリ会長が安売りを始めたおかげでようやく脱出することができたようです。
6月25日 ローマ

  モツィもラツィオへ移籍か?

 イタリア・セリエAのラツィオは先シーズン途中に加入したルーマニア代表シュテファン・ラドゥに続いて、同じくディナモ・ブカレストのルーマニア代表コスミン・モツィをも狙っているようです。

 『モツィは昨シーズンまでディナモ・ブカレストでセンターバックのコンビを組んでいたラドゥと一緒にプレーしたいと望んでいる。ラツィオのロティート会長は以前から彼の獲得を強く望んでいたし、ディナモの首脳陣とも良好な関係にある。月曜日か火曜日には最後の話し合いが行われるだろう。もうほぼ決まったと言っていいと思う。』−ベカリ代理人

 モツィはラツィオからの移籍決定の知らせを待っていて、既にラツィオと2013年までの基本年俸30万ユーロという5年契約で合意しているようです。後はディナモ・ブカレストとの交渉を合意させなければいけなく、交渉開始後の時点ではラツィオ側は300万ユーロを提示に対して、ディナモ側は600万ユーロを要求。そのためロティート会長は100万ユーロのレンタル料に、400万ユーロでの買い取りオプションを付けるという仮説を提案した。ちなみに昨年のラドゥも同様の提案で合意に至っています。
・・
6月24日 ミラノ

  キヴの手術が無事完了

 シーズン中に何度となく左肩の脱臼に苦しめられていたインテル所属クリスティアン・キヴが23日、故障箇所の手術を行った。インテルの発表によると、約2時間に渡る手術は完璧な成功に終わったとのこと。キヴの手術はシーズン中から検討されていましたが、インテルのリーグ戦やルーマニア代表として欧州選手権を戦うために延期されていた。だが、ルーマニアが大会から敗退したことで、インテルのメディカル・スタッフと相談した結果、手術が行われることとなった。また、モウリーニョ新監督の強い要望を受け、予定より早めに手術することになったようです。

キヴは復帰までに約3ヶ月を要するとみられています。
6月19日 フィレンツェ

  フィオレンティーナ、ムトゥに最後通告?

 年俸アップを巡る騒動から、去就が注目されているフィオレンティーナ所属のアドリアン・ムトゥ。同選手の残留を信じるとしているクラブは19日、ムトゥに契約延長のオファーを提示したことを明らかにしています。

 『アドリアン・ムトゥ選手に関するアンドレア・デッラ・ヴァッレ会長のコメントが示しているように、フィオレンティーナは6月3日にムトゥ選手の代理人から年俸増額を求めるリクエストを受け取ったことを発表します。このリクエストはクラブ首脳陣やスポーツ・ディレクターらが共に検討した結果、断ることとなりました。クラブとムトゥ選手がお互いを評価し、良い関係を築いていることから、クラブは6月14日にムトゥ選手と代理人に対し、パフォーマンスに応じたインセンティブという若干の修正を加えた2012年までの契約延長という解決策を提示しました。これはサラリーキャップの基準に即した解決策です。』

 また、コルヴィーノSD(スポーツ・ディレクター)は次のようなコメントを残しています。

 『ムトゥはフィオレンティーナの選手として残り、クラブは完全に同選手の価値を理解している。しかし、クラブ全員に対してそうしてきたように、責任ある一貫した方針を続けていくだろう。』
6月17日 サンクト・ガレン

  キヴ、『勝ち抜く力が足りなかった』

 ヴィクトル・ピツルカ監督率いるルーマニアは、勝利を収めればベスト8へ進出できるはずだった。だがその願いは無残にも打ち砕かれ、チューリヒでフランスを2-0と下したイタリアがルーマニアに代わって決勝トーナメントへ勝ち上がった。

 『この試合には相当な意気込みで臨み、準決勝進出を心から熱望していたので、大きな失望感に包まれている。ただオランダはとても強い相手だった。そして私たちは残念ながら、勝つために必要なチャンスを多くつくれなかった。後は帰国するだけだ。それが現実とはいえ、非常に残念だ。』

 
ルーマニアがこの日最大のチャンスを迎えたのは、0-0で迎えた前半終了間際だった。しかし、ラズヴァン・ラツの折り返しに合わせたパウル・コドレアのシュートは、無情にもクロスバーを越えてしまう。イタリア戦でアドリアン・ムトゥが失敗したPKと同じく、このシュートミスは大きな代償を伴うことになったが、キヴは誰かを責めるのではなく、2006年ワールドカップ決勝を戦った2チームと引き分けた事実に注目していた。

 
『個人のミスを非難しても意味がない。私たちには次のステージへ進む力がある、ということを証明するために90分間戦った。試合開始の時点でグループ2位というアドバンテージを生かせなかったことは非常に残念だ。しかし、この悲しさが消える数日後に大会を振り返れば、自分たちのプレーに、特にフランス戦とイタリア戦でのプレーに誇りを感じるはずだ。』

 
ピツルカ監督は試合前、昨年10月の予選でオランダを1-0と下した勝因について言及したが、前回はアヤックスで4年間プレーしたキヴなど、相手の事情に詳しい選手たちの存在が大きかったと認めていた。しかし、今回の対戦でなす術なく敗れたキヴは、オランダこそ優勝に最も近いチームだと考えている。

 『前半はオランダを抑えることができたが、後半には彼らの実力を見せつけられた。私が以前から言っていた通り、難しい試合だった。主力を温存しているにもかかわらず、あれほど力のあるオランダを90分間抑えることは難しい。彼らは素晴らしいチームだ。今後の成功を祈っている。』
6月17日 ベルン

  2008欧州選手権 グループC 第3戦

オランダ戦

  
動ける動けない以前の問題。疲れという点では考慮するべきなのか。それにしても覇気がなさすぎた。2戦での善戦で夢見た分、この失望の落差は大きい。2引き分けはがんばった。しかしそれを台無しにするようなこの試合の内容はいただけない。これなら2連敗後の内容のある1勝の方が良かった。

スタッド・ドゥ・スイス・ワンクドルフ
オランダ 2 00 0 ルーマニア
20
K・J・フンテラール
R・V・ペルシ
54
88
マールテン・ステレケンブルグ
ハリド・ボラルーズ
(57分 マリオ・メルヒオット)
ヨン・ヘイティンガ
ウィルフレッド・ボウマ
ティム・デ・クレル
オルランド・エンヘラール
デミー・デ・ゼーウ
イブラヒム・アフェライ
ロビン・ファン・ペルシ
アリエン・ロッベン
(61分 ディルク・カイト)
クラース・ヤン・フンテラール
(82分 ヤン・フェネホール・ヘッセリンク)
GKGK
DF
DF
DFDF
DFDF
DFDF
MFMF
MFMF
MFMF
MFMF
FWFW
FWFW
FWFW
FWFW
ボグダン・ロボンツ
コスミン・コントラ
ガブリエル・タマシュ
ソリン・ギオネア
ラズヴァン・ラツ
ラズヴァン・コチシュ
パウル・コドレア
(72分 ニコラエ・ディカ)
クリスティアン・キヴ
バネル・ニコリツァ
(82分 フローレンティン・ペトレ)
マリウス・ニクラエ
(59分 ダニエル・ニクラエ)
アドリアン・ムトゥ
マルコ・ファン・バステン 監督 ヴィクトル・ピツルカ
4-2-3-1フォーメーション 4-3-3フォーメーション
警告
73 クリスティアン・キヴ(2枚目・次節出場停止)
ベンチ
エドウィン・ファン・デル・サール
ヘンク・ティメル
ジョバンニ・ファン・ブロンクホルスト
ヨリス・マタイセン
アンドレ・オーイエル
ナイジェル・デ・ヨング
ウェスレイ・スナイデル
ラファエル・ファン・デル・ファールト
ルート・ファン・ニステルローイ
/・ マリウス・ポパ
エドゥアルド・スタンチョウ
クリスティアン・サプナル
コスミン・モツィ
シュテファン・ラドゥ
アドリアン・クリステア
チプリアン・マリカ

プレイバック・オブ・ザ・ゲーム

 グループリーグ2連勝で首位通過を決めていたことから爆発的攻撃力の主力を温存するだろうと予想されるオランダとの対戦は、イタリア、フランスとの2戦を引き分けでルーマニアにとっては願ってもない状況で、しかも最終戦までに2位を保持したことで自力突破を残した好条件。このことからすでに他力にまで追い詰められたイタリア、フランスからはW杯ファイナリストの威厳などお構いなしの八百長疑惑を吹っかけられる1戦とあいなった。その中で周囲の雑念はお構いなしにやはり主力の温存を図ったファン・バステン監督は大幅に選手を入れ替えてきた。フランス戦からボラルーズとエンヘラール以外の9選手を変更。それでもロッベンとファン・ペルシは先発させ、依然として強力なメンバーをそろえていた。一方のルーマニアは、フランス対イタリアの結果次第で、引き分けか負けでもトーナメント進出が決まる状況にあった。ピツルカ監督は、1-1で引き分けたイタリア戦から4選手を変更。顔面を負傷したラドイと出場停止ゴイアンの代わりにコチシュとギオネア、1トップにはマリカが入るものと思われたが、マリウス・ニクラエを起用した。

 曇り空の中、キックオフの笛が鳴り、試合は互角の展開で始まった。ルーマニアは4分にムトゥのクロスをボウマが体を投げ出して弾くも、マリウス・ニクラエが拾ってボレーシュート、9分にもクリスティアン・キヴがオランダ陣内の好位置で獲得したFKからゴールを狙った。一方のオランダはボール支配率で大幅に上回ったが、なかなかチャンスにつなげることはできない。19分にファン・ペルシが狙ったヘディングシュートは、ゴール枠の外へ流れた。ファン・ペルシはまた26分にもエンヘラールのクロスから好機を得たが、先制点は生まれなかった。序盤のルーマニアが非常に消極的だったため、オランダがボールをキープし続け、ルーマニアが守備に追われるという予想外の試合展開だった。

 こう着状態が続く中、25分すぎにはルーマニアにとって歓迎できないニュースが流れてきた。同時進行中の試合でイタリアがリードしたとの情報が届いたのだ。ルーマニアはこの時点でグループ3位に転落。準々決勝に進出するのは、勝利が必要になった。そんな中、ムトゥが2本の惜しいシュートを放ち、ステケレンブルフとイタリアのサポーターを脅かした。オランダも黙ってはおらず、前半最後の15分間に2度の決定的なチャンスを作り出す。だが1トップで出場したフンテラールは、ゴール前10メートルからのチャンスを決められない。36分には、ロッベンがフンテラールのパスから抜け出す。だがルーマニアのGKボグダン・ロボンツと1対1の絶好機を迎えるも、シュートはわずかゴール左に外れた。チャンスを生かせないのはルーマニアも同じだった。44分、ムトゥとラツの連係でオランダの左サイドを崩す。しかしラツのキラーパスを中央で受けたコドレアは、この決定機を生かせず、この試合におけるチーム最大のチャンスを逃してしまった。

 後半もどうしても必要な1点がなかなか奪えなかったルーマニアを差し置いてオランダが好スタート。49分、ファン・ペルシがロングボールを巧みにコントロールしてシュート。ルーマニアの守護神は奇跡的な反応でセーブした。しかしその5分後のシュートはどうすることもできなかった。アフェライからのクロスをエンヘラールに引き寄せられたルーマニアDFがクリアできずに後方のフンテラールが確実に決め、オランダが1-0のリードを奪った。ショック、不安、いら立ちを隠せないルーマニアはなかなか立ち直ることができず、プレーのコントロールが効かなくなり、オランダに容易にボールをキープされていた。

 ピツルカ監督は選手交代で打開を図り、ダニエル・ニクラエとディカを投入。それでも試合が動くことはなかった。ルーマニアのプレーには緩急の変化が欠けていた。ペナルティーエリア内での混戦からムトゥがチャンスを迎える場面もあったが、ボールを蹴り損なってしまう。逆にオランダはカウンターを繰り出し、87分にはこの日素晴らしい働きを見せていたファン・ペルシが、絶妙なボールコントロールでタマシュをかわして強烈なシュートを打つ。これが鉄壁ロボンツを破って2-0。これで奇跡を信じていたルーマニアの希望は絶たれ、試合はそのまま2-0でオランダの勝利に終わった。ルーマニアは敗退し、イタリアが準々決勝へと進む。

 『残念ながら、私たちの大冒険は終わった。チャンスを生かせなかったが、それがサッカーというものだ。今夜のオランダは、私たちよりも内容が上だった。新鮮な状態でもあった。前半終了後、チューリヒの試合の途中経過を知ったことは、選手たちに影響したかもしれない。大会を総括すれば、私たちは非常によくやったと思う。素晴らしい3チームと同じグループに入ったが、存在感を示すことができた。特に最初の2試合で、ワールドカップの優勝チームと準優勝チームに負けなかったことは評価できる。イタリア戦のPKを決めていれば、準々決勝へ進めただろう。』

 『今日はオランダよりも精神面で強くあるべきだった。少し疲れがあったかもしれない。私たちは最初の2試合からメンバーを変えることができず、おそらくそれが疲労につながったと思う。今日はまとまりがなかった。リスクも十分に冒したが、オランダのようなチーム相手では、そのようなサッカーをしてはならない。オランダ戦では先制点を与えないことが大事だ。それはフランスとイタリアも学んだことだ。今回の教訓を生かさなければならない。この経験は今後貴重になるだろう。人生は続く。大会が終わったら、今度はワールドカップのことを考えなければならない。』
−ピツルカ談

最後まで響いた、ムトゥ頼みの限界

グループC その他の結果
 イタリア 2-0  フランス


現在のグループCの戦績
TEAM 得失 勝点 昇降
オランダ 3 3 0 0 9:1 9
イタリア 3 1 1 1 3:4 4
ルーマニア 3 0 2 1 1:3 2
フランス 3 0 1 2 1:6 1

 主力を休めて、控え中心の選手を数多く起用しながらも、そのスタイルを崩さず他国の疑念をシャットアウトしたオランダはさすが。ルーマニアは前半の数少ないチャンスもモノにできなかったのが痛かった。守備的だけのスタイルの限界。あれほどの攻撃面での場違いさは本大会に出たチームとしては恥ずかしい。間違いなく近年で一番のみっともない試合で、これが善戦した2試合の直後に出るとは思わなかった。負けたことを言っているのではなく、あれほどの覇気のなさは裏切りでもある。トーナメント進出にかける情熱、黄金世代の亡霊からの脱却、かませ犬と評した世間へのリベンジ、はフレッシュなオランダ2軍によって口だけだったと証明させられてしまった。負けてもよくやったと言える試合がある。この1戦においてはそれだけは言えない。

6月17日 サンクト・ガレン

  好調オランダを警戒するピツルカ

 全世界の予想を覆す健闘で勝てば文句なしのグループ突破を決める大一番のオランダ戦を控えるルーマニア代表ピツルカ監督は、予選での2試合はシャットアウトで勝ち越したものの、当時とはかけ離れた好調ぶりのオランダを警戒しています。

 ルーマニアは今予選で今まで勝ったことのなかったオランダに勝利してグループ1位で本戦出場を決めていますが、フランス、イタリアを評判どおりの攻撃力で文字通り粉砕し、覚醒した新たなチームに生まれ変わっています。

 『ルーマニア代表にはオランダのサッカーを熟知している経験豊富な選手がいて、予選ではそれが攻略の大きなプラスとして作用した。しかし、当時のオランダは調子はいまひとつだった。現在はみなが知るところの絶好調と言うしかない。』

 現在グループ首位通過をすでに確定しているオランダに続く2位争いで、一歩リードしているルーマニアがベスト8に進出できるかは2試合の結果次第で様々な可能性を残しています。勝てば文句なしの確定で、引き分けや敗戦でもイタリア対フランス戦の結果次第では準々決勝に進出できる。しかしピツルカ監督は今はとにかく自分達の試合に集中することだけを強調しています。

 『もう一方の試合のことは気にしない。他の試合の事を考えながら自分のチームを指揮することなんてできない。複数のパターンがあることは知っている。しかし複雑なのはごめんだ。我々が自力で勝利を収めればそんな些細なことは関係なくなる。最終的にはそうなることを望んでいる。我々はそれに見合うプレーをしてきたからだ。』

 ピツルカ監督にとって、昨年10月の予選オランダ戦で決勝点を決めたゴイアンを累積出場停止で欠くのは頭痛のタネとなったでしょう。守備的MFミレル・ラドイがイタリア戦で鼻とほお骨を骨折し、欠場が決まっっているからです。『ルーマニアのような小国にとっては、誰が欠けても大きな痛手だ。次から次へと良い選手が出てくる大きな国とは絶対数と伝統が違うので、これからもつねに人材不足には悩まされるだろう。』と語ったピツルカ監督は、ゴイアンの代役として、同じステアウア・ブカレストのソリン・ギオネアに大会初先発のチャンスを与えるとみられています。
6月17日 サンクト・ガレン

  ロボンツ、貪欲に突破を狙う

 ロボンツは現在のオランダが今大会の優勝候補筆頭だろうと認めながらも、オランダ戦にも引き続きルーマニアが好調を示して、グループ突破のために良い結果を残すことを期待しています。

 ロボンツはかつて6年間オランダのアヤックスに所属していたので、その実力はおおいに知るところ。元チームメイトのスナイデルやファン・デル・ファールトがこの大会を制したとしてもなんらサプライズでないことは承知しています。

 『オランダは非常に優れた選手の集まりであり、だれもがスナイデルをはじめ多くのオランダ選手が見せた2つの試合でそれは認めているでしょう。オランダは勝利に値する強いチームでその攻撃力には目を見張るものがあります。アヤックスでは何度もリーグ制覇したし、チャンピオンズリーグでも良い成績を残してきました。そこではサッカーだけでなく多くのことを学びました。第2の故郷と言ってもいいぐらいです。しかし最終戦ではもちろんルーマニアのことに集中し、予選の時のように1-0で勝利を狙っていきます。』

 またロボンツは対戦したイタリアのフィオレンティーナにムトゥの同僚として06/07シーズンに在籍し、素晴らしいプレーを披露していました。しかしフランス代表のセバスティアン・フレイがケガから復帰するとベンチが指定席となり、出場機会を求めて国内のディナモに復帰していました。

 『フィオレンティーナでは素晴らしい経験をしました。なんといってもイタリアのビッグクラブですから、居心地も良かったものです。しかし選手としては出場機会を求めてさまよい歩くもの。特に大きな大会が控えている場合はそれが重要になってきます。』

 フィオレンティーナのコルヴィーノ監督から、そのゴール前での俊敏な動きから“キャット”というニックネームで呼ばれているロボンツは相変わらずの驚異的なセーブで2連続ポイント奪取の立役者となっていました。現在は自力突破の可能性があるという最高の状態において興奮を隠し切れません。

 『まずこの時を一番待っていたのはピツルカ監督でしょう。前回2000年を率いた時は予選で勝ち抜けたにもかかわらず、本戦で指揮を取る事はなかったわけですから。今回彼のおかげで我々は8年ぶりに戻ってきました。彼と選手の関係は最高に良いものとなっています。ついに団結力が実った結果とも言えるでしょう。』
6月17日 サンクト・ガレン

  キヴ、予定調和は受け入れず

 キャプテンのクリスティアン・キヴは準々決勝進出を狙ってオランダ戦に照準を合わせていますが、オランダ代表にいるアヤックス時代のチームメートがルーマニアの突破のために力を貸してくれるなどと考えてない。既にグループCの首位通過が決まっているオランダのマルコ・ファン・バステン監督は、17日のルーマニア戦ではレギュラーメンバーを温存するかもしれないと示唆しています。ルーマニアがもしその試合に勝てば、フランス対イタリア戦の結果に関係なく、自力で準々決勝スペイン戦の切符を手にできるのです。しかしキヴは、オランダとの交友関係の深さに関係なく、厳しい試合が待ち受けていると考えています。

 『はっきりしていることなんて一つもない。私はオランダのサッカーを良く知っているし、彼らにとってサッカーがどれほど重要な意味を持っているかも知っている。オランダは、今回のような攻撃的なサッカーで勝利することを長い間、期待していた。この好機に彼らが少しでも気を抜くとは思わない。グループ突破を決めているとはいえ、勝って連勝を維持したいはずだし、優勝候補として認められたいはずだ。』

 キヴは1999年から2003年までオランダのアヤックスに在籍していて、ウェスレイ・スナイデルやラファエル・ファン・デル・ファールトといった有望な若手を抱えるチームでキャプテンを務めていました。キヴは、オランダ戦がどういう結果になろうとも、ルーマニアにとってこの大会はすでに成功であると考えている。大会前、大半の評論家はこのグループでルーマニアが2位以内に入ることはないと考えていた。しかしルーマニアは、フランスとイタリアに引き分け、決勝トーナメント進出の可能性を広げている。27歳になるキヴは、ベスト8入りを果たした2000年の欧州選手権の再現を狙っている。

 『私たちは既に素晴らしい偉業を成し遂げている。もし大会前に、フランスとイタリアを相手に勝つことはないが引き分けられるという契約書を渡されていたら、喜んでそれにサインしただろう。でも今は、実際に自力でのグループ突破の可能性が残されており、今のチームのポテンシャルもはっきりと分かる。私もチームメートも、このチャンスを絶対に逃したくない。私たちの世代にとって最も重要な試合になる。そして、もしこのグループを突破できたら、ルーマニアサッカー界にとって歴史的瞬間になるだろう。』
6月15日 サンクト・ガレン

  マリカが回復。運命のオランダ戦へOK

 すでに1位突破を決めているため第3戦にはベストの布陣ではこないだろうと予想されいるオランダですが、ファン・バステン監督がいかなる選手を起用しようともタフな試合になることは間違いないとマリカは強調しています。

 『ぜひオランダにはベストを尽くして欲しい。ファン・バステン監督が何人かの選手、特にケガと累積の危険をはらんでいる選手には休息を与えたいと思っていることは容易に理解できるだろう。しかしここまで好調できているチームをわざわざ変えるのかということも考慮しなくてはいけないだろう。どっちにしても代わりのすぐれた選手が実力を示そうと向かってくるのはあたりまえだから、厳しい試合には間違いないだろう。しかし自信がついて好調なのは我々も同じことなのです。』

 マリカは先週の合同練習中にマリウス・ニクラエとの激突で脳しんとうを起こし、2日間の安静が強いられましたが、現在は体調も万全になり、オランダ戦のスタメンに起用される可能性が高まっています。

 『現在オランダは好調であり、いちやく今大会の優勝候補にのし上がりました。もちろん我々はオランダに予選で勝ち越しており、相性はいいと言えました。しかしそれは戦前の予想であり、今となってはまったくあてにはできないものです。イタリア、フランスを上回る成績で我々が自力突破の可能性を残していることも同じことが言えます。あとはこの試合にかける我々のモチベーションが上であることを信じるだけです。』
6月15日 サンクト・ガレン

  ムトゥが国民に謝罪

 ルーマニア代表のアドリアン・ムトゥは14日に、前日に行われたイタリア戦でPKを失敗したことについて、応援してくれた母国のファンに対して謝罪をした模様。

 17日に行われる死のグループ最終戦のオランダ戦では勝利を飾り、下馬評では優勝候補であったイタリアとフランスをグループリーグ敗退に追い込むという仰天のシナリオを実現するため、獅子奮迅の努力をするとムトゥは誓っています。

 『PKを失敗してしまい申し訳ないという気持ちでいっぱいです。ルーマニアを応援してくれている世界中のファンに謝罪したいです。オランダ戦では可能な限りの償いをするつもりなので、変わらぬ応援を御願いします。あの時はユベントス時代の同僚ということでブッフォンの動きを熟知しているつもりだった。ブッフォンはポストの方へ飛ぶと分かっていたし、実際そのようになった。だからゴールの中央低めの位置を狙ったのですが、今となってはコースが甘かったのか、予想外のセーブだったのかははっきりしません。ただイタリアに勝ちたいという想いは人一倍ありました。』
6月14日 サンクト・ガレン

  ラドイに誓う勝利

 イタリア戦での重傷が伝えられたラドイは15日にも手術が決定し、代表の広報によると練習再開までには約2週間を要することになった模様。

 一方、激突の相手であるラツは
 『二人に起こった不運な事故だった。ラドイは交代を余儀なくされ、私も気付いたら血だらけでプレーしていた。試合後にそのダメージの大きさを実感しました。ラドイには申し訳なく思う。彼にとっても素晴らしい大会になっただろうに。それだけが後悔だ。』

 またゴイアンが離脱したことによってスタメンのキープレイヤーなしでオランダ戦を迎えることには
 『痛手ではありますが、他の二人の選手がチャンスを生かして実力を発揮するためにがんばってくれるだろう。我々は予選でオランダに勝ち越して、また攻略法も身についています。だから自信を持って臨めるでしょう。』
6月14日 サンクト・ガレン

  ラドイが残り試合欠場へ

 ルーマニア代表守備的MFの核であるミレル・ラドイはイタリア戦での顔面の重傷により、残りのオランダ戦とトーナメント進出した場合でも残りの試合には出場が不可能ということになったようです。

 キヴに匹敵する能力で人材不足の守備的MFに安泰をもたらしてきたラドイは、13日のイタリア戦で前半23分にフリーのボールを処理しようとしたところチームメイトのラズヴァン・ラツと空中でそれぞれ顔面を強打して、反転しながらピッチに倒れてしばらく動けないまま途中交代を余儀なくされました。ラツは治療後にプレー続行しましたが、しばらくして顔面がしたたり落ちる血で真っ赤という有様でした。

 ラドイの治療はすぐに行われましたが、鼻骨と左目の下を骨折していることが判明。試合後のピツルカによると『状態はひどいものとしか言えない。現在のところ折れた鼻と眼下の手術が必要だろう。詳しいことはまだハッキリしないが、オランダ戦は確実に不可能だ。そしておそらく離脱になるだろう。』

 またラドイに続き、ゴイアンもまた累積で出場ができないため、ピツルカにとっては人材不足という問題がまた付きまとうことになりました。
6月13日 サンクト・ガレン

  ルーマニア代表がムトゥを擁護

 フランス、イタリアと強豪相手に番狂わせとも言える2連続ドローを演じたルーマニア代表は、イタリア戦で20年ぶりの勝利とグループ突破のチャンスであったPKを失敗してしまった失意のムトゥを力付けるため、よりいっそう団結力を深めたようです。

 『もちろん勝てなかったことには落胆している。しかし、良い試合ができたし、結果も妥当だったといえます。アドリアンはPKを失敗してしまったことに落胆しています。しかし、強豪相手のイタリアに対して我々を勇気付けさせる先制点を奪ったのも彼だと言うことは忘れてはいけません。』−ラズヴァン・ラツ

 『我々はイタリアから1ポイントを獲得できたことに喜んでいるし、アドリアンの失敗を責めることはできない。プライドを持って世界王者に挑んだし、前回ワールドカップのファイナリストである2チーム相手に互角の結果を残したことは十分に評価できる内容です。』−ラズヴァン・コチシュ
6月13日 チューリヒ

  2008欧州選手権 グループC 第2戦

イタリア戦

  
「耐えて、耐えて、オランダ戦で勝負」というお膳立てが怖いくらいに成功。これでイタリアとフランスが奇跡を待って他力本願の屈辱へ。オランダの消化試合に自力突破が残されたルーマニアが完全有利。しかし勝つのは至難の相手には変わりない。ちょっと優勢といったところか。

レツィグルント・シュタディオン
イタリア 1 00 1 ルーマニア
11

C・パヌッチ
55
56
A・ムトゥ
ジャンルイジ・ブッフォン
ジャンルカ・ザンブロッタ
クリスティアン・パヌッチ
ジョルジョ・キエッリーニ
ファビオ・グロッソ
アンドレア・ピルロ
ダニエレ・デ・ロッシ
マウロ・カモラネージ
(85分 マッシモ・アンブロシーニ)
シモーネ・ペロッタ
(57分 アントニオ・カッサーノ)
アレッサンドロ・デルピエロ
(77分 ファビオ・クアリアレッラ)
ルカ・トニ
GKGK
DF
DF
DFDF
DFDF
MFMF
MFMF
MFMF
MFMF
FWFW
FWFW
FWFW
FWFW

FW
FW
ボグダン・ロボンツ
コスミン・コントラ
ガブリエル・タマシュ
ドリン・ゴイアン
ラズヴァン・ラツ
パウル・コドレア

ミレル・ラドイ
(25分 ニコラエ・ディカ)
クリスティアン・キヴ
フローレンティン・ペトレ
(60分 バネル・ニコリツァ)
ダニエル・ニクラエ
アドリアン・ムトゥ
(88分 ラズヴァン・コチシュ)
ロベルト・ドナドーニ 監督 ヴィクトル・ピツルカ
4-2-3-1フォーメーション 4-3-3フォーメーション
警告


アンドレア・ピルロ

ダニエレ・デ・ロッシ
43
58
61
73
92
アドリアン・ムトゥ(1枚目)
クリスティアン・キヴ(1枚目)

ドリン・ゴイアン(2枚目・次節出場停止)
ベンチ
マルコ・アメリア
モルガン・デ・サンクティス
アレッサンドロ・ガンベリーニ
アンドレア・バルザーリ
マルコ・マテラッツィ
ジェンナーロ・ガットゥーゾ
アントニオ・ディ・ナターレ
アルベルト・アクイラーニ
マルコ・ボリエッロ
/ マリウス・ポパ
エドゥアルド・スタンチョウ
クリスティアン・サプナル
ソリン・ギオネア
コスミン・モツィ
シュテファン・ラドゥ
アドリアン・クリステア
マリウス・ニクラエ
チプリアン・マリカ

プレイバック・オブ・ザ・ゲーム

 フランスに逃げ切ってポイント1を獲得して上昇ムードのルーマニアと鉄壁の守備で優勝候補と目されるもオランダに大敗したイタリアによる死のグループ第2戦。イタリアのドナドーニ監督は負のイメージを払拭するかのごとくスタメンを5人も変更してきた。ガットゥーゾとアンブロシーニがピルロをサポートするACミランのシステムを捨て、デルピエロ、ペロッタ、デ・ロッシという攻撃に偏重したスタイルで何が何でも勝つという姿勢がうかがえた。一方、ルーマニアのピツルカ監督は、中盤の構成を変え、F・ペトレとイタリアサッカーを知るシエナのコドレアを先発で起用してきた。望むは真っ向勝負のデスマッチ。

 開始1分、まずムトゥがイタリアの急造DFラインを脅かす。コドレアの巧みなロビングをチャンスエリアで合わせたヘディングはゴールマウスに飛ばなかったものの、ルーマニアの明らかにフランス戦よりも積極的に仕掛ける意思を感じさせた。それに対して9月以来の先発出場となったデル・ピエロは、イタリアの主将として左サイドから攻撃を牽引。9分頃からコントラの急所をつき、左サイドを完全に支配してルーマニアを何度もピンチに陥れる。

 今度は、ルーマニアが4分間に3度もチャンスを作り出すが、ルーマニアの前にはイタリアのGKブッフォンが立ちはだかる。15分、ラドイのスルーパスから左サイドを抜け出したムトゥの1対1のチャンスを止められ、17分にはタマシュのFKもダイビングセーブで阻止。2分後のキヴのロングシュートはパヌッチに当たり方向が変わったため、さすがのブッフォンも触ることはできなかったが、ポストに直撃する不運。ルーマニアは、フランス戦で影を潜めていた攻撃が輝きを放つ。しかし迎えた25分に予想外の悲劇が起こる。

 イタリアの選手が近くにいない中、ルーマニアの中盤で高く浮いたボールにお互い間合いを図っていなかったラツとラドイが空中で頭を激突。ラツは流血しながらもしばらくして立ち上がり大丈夫なところを見せたが、衝突して体が反転しながらピッチにも激しく頭部を打ったラドイは動くことができずに救急運搬車で運ばれていった。フランス戦と今日ここまでうまく中央で統制を取ってきたラドイの離脱で、ここが分岐点と判断したピツルカは早くも攻撃のカードであるディカ投入の決断。そして試合は両チームが攻め合う展開となる。

 ルーマニアの華麗なパスワークはイタリアのDFラインを苦しめるが、決定機が作れない。一方のイタリアは徐々に落ち着きを取り戻し、ゴール前でルカ・トニが制空権を支配し始める。26、27分には両サイドから中央のトニに良質なクロスが上げられピンチになるも、ヘディングの精度を欠いたため助かる。33分にはデルピエロゾーンでのFK。39分にはクロスに合わせたトニがペロッタに落として決定的ピンチを迎えたが、コドレアの捨て身のカットで九死に一生を得た。そのCKからのトニの鋭いヘディングは正確にゴールの隅を突いたが、おなじみロボンツが神のセーブを見せて弾き出す。

 ロスタイムにはショートコーナーからペロッタのロングボールをトニがヘディングで押し込み、最悪の時間帯での失点と思いきや、主審が微妙なオフサイドの判定でゴールを認めなかったため、安堵の空気がルーマニア陣営に流れる。前半終了。

 後半に入っても中盤の要であるキヴはイタリアのセンターラインのデロッシとペロッタに効果的な仕事をさせず、コドレアとダブルボランチ変更後も攻撃のタクトも振り続けた。しかしディカを入れて攻撃を増やしたにも関わらず、やはり目立つのはムトゥだけという頼りなさ。そのムトゥは53分に果敢にシュートを狙っていくが、またもやブッフォンのファインセーブに遭う。ロボンツ同様この鉄壁さに得点を奪う匂いは感じられなかったが、この直後に意外な形で試合は動いていった。

 56分、ルーマニア陣内のFKをコントラが一気にペナルティエリア左にロングボールを送ると、待ち構えていたザンブロッタの元に。加速するも競り合うには間に合わないムトゥは、ザンブロッタがヘディングでそのままGKにバックパスすることに賭けて、あえて競り合いをスルーして後ろを回り込んでボールの落下予想地点へ走りこむとシナリオ通りに事が運んだ。わずかな可能性がすべて抜群のタイミングで策士ムトゥに渡り、飛び込んでくるブッフォンの牙城をついに破った。

 なんとイタリア相手に先制点を奪うという願ってもない状況になったルーマニアだが、近年続く、得点の直後の失点、失点直後の失点、ロスタイムの失点といったタイミング的に最悪な集中力の欠如がプンプンと匂ってくる。どうも最近の私は素直に喜べない。3点差にならないと安心できないといった過去のトラウマに支配されるのはルーマニア伝統の気まぐれ体質に苦しんできたからだろうか。そして今回、それが音速の速さでやってくることになる。

 ルーマニアがまだ歓喜に浸っているなか、イタリアもすぐさま反撃に転じ、わずか1分後には同点に追いつかれたのである。イタリアのCKがファーサイドに流れると、密集地帯のなかで頭一つ抜け出たキエッリーニが頭でガラ空きの左ゴール前に折り返す。タマシュが無理な体勢からオーバーヘッドでクリアを試みるもオウンゴールがよぎったのもあるだろうか残念ながら空振り。その背後に忍び寄っていたパヌッチが押し込んだ。1分間のうちにスコアは0-0から1-1へと変わった。

 ここが勝利へとタイミングとばかりにドナドーニ監督はペッロッタを下げてカッサーノを投入し、攻撃の手を強めた。63分には、カッサーノの好パスを受けたデルピエロが絶妙なラストパスをトニに送ったが、あと少しのところで合わせられず。70分にはニクラエのシュートがはじかれたところをムトゥに飛び込むが、グロッソにシュートをインターセプトされてしまう。75分にはデルピエロのシュートを今度はロボンツがファインセーブ。78分には攻め上がったザンブロッタにカッサーノがヒールパスを送ったが、ザンブロッタからトニへのクロスをルーマニアの守備陣がクリア。ルーマニアはニコリツァがペナルティーエリア内での反転からのシュートでゴールを脅かした。

 グループ勝ち抜けのため、意地のぶつかり合いの様相を呈した両チーム。さすがに優勝候補のイタリアがその実力を見せて押し込む時間帯が続くが、試合を通してその守備力に自信を付けてきたルーマニアも簡単には許さない。そのイタリアのジレンマがついにルーマニア勝利のために後押しをすることになった。

 81分、ムトゥのクロスに走りこんだエリア内のニクラエをパヌッチが後ろから抱え込んだとしてPKを獲得。これをルーマニアが決めて1-2で試合が終われば、イタリアはわずか2試合でユーロの敗退が決定。そしてルーマニアの突破も確実的。そんなプレッシャーのかかるPKを蹴るのはムトゥ。しかしというかさすがというかブッフォンの開いた手とつま先で、ムトゥのシュートとルーマニアの夢ははじき出されてしまった。まだ同点ではあるが。

 ドナドーニ監督は3人目の交代としてカモラネージを下げて中盤にアンブロジーニを投入。ルーマニアは疲れ果てたムトゥが交代。残り1分となったところでカッサーノがゴールライン際からのシュートを放ったが、ロボンツを脅かすには至らなかった。そしてタマシュのFKも威力はあったものの、大きく外れてしまった。最後は一切の戦術が無意味となり、共に決定打を繰り出すことはできずに試合は終了した。

 『勝つことはできなかったが、チームにとっては良い結果となった。前回のワールドカップのファイナリスト相手に戦い、いまだに可能性が残されている。次のオランダ戦でも同様に良いプレーができればグループを突破できるだろう。PKはもちろん決めるべきではあったが、1-1という結果には満足するべき妥当なものと言ってよい。そしてイタリアにとってはラッキーだったと言うこともできるだろう。ルーマニアがイタリア相手に多くのチャンスを作り出すことができたことも特に驚いてはいない。イタリアはベストな調子ではなかったから、全ては期待通りだった。ムトゥはPKをミスしてしまったが、こういうこともよく起こりえることだ。PKをミスしたことよりも失点の方がショックは大きい。PKというものはこれまでもあったように、失敗の可能性を常にはらんでおり、これからももちろん起こることなのだ。ムトゥには集中して蹴るようにとは言っておいたが、世界最高GKのブッフォンが相手ということを意識しすぎたのかもしれない。彼のミスではなく、ブッフォンが素晴らしいセーブをしたということだろう。我々は良いプレーを持続できたし、ボールも良く回せていた。ディフェンス面で言えば、良くない時間帯もあったが、共に勝たなくてはいけない厳しい試合の中、良くやった方だろう。』−ピツルカ談

今宵もまた楽しまさせていただきましたのう

グループC その他の結果
 オランダ 4-1  フランス


現在のグループCの戦績
TEAM 得失 勝点 昇降
オランダ 2 2 0 0 7:1 6
ルーマニア 2 0 2 0 1:1 2
フランス 2 0 1 1 1:4 1
イタリア 2 0 1 1 1:4 1

 トニの不調に助けられた感はあったものの、十分にイタリアを驚かせるチャンスを作った。密着マークの中でも一瞬の閃きで己を証明したムトゥはやはりレベルが違う。そうなってくると他の攻撃陣がまったく目立っていないのが気がかり。懸念されていたムトゥ頼みが本大会でこんなにもハッキリと露呈してしまうとは思わなかった。全盛期のマリカがいれば...と。

6月13日 サンクト・ガレン

  ラツ、イタリア戦でもやり遂げる

 左サイドバックのラズヴァン・ラツは第2戦のイタリア戦は厳しい戦いになることを認めながら、チームの偉業に向かって少しもひるんでいない模様。

 初戦フランス戦でスコアレスドローを演じたピツルカ率いるルーマニア代表にあって、フランスの最重要選手のフランク・リベリを抑える役割を見事に遂行したラツは、イタリア戦で同様にポイントとなるであろうユベントスのカモラネージを抑えるのは並大抵のことではないと警戒しています。

 『リベリは対峙するには強敵な選手であり、見ていたい選手でもありました。彼はバイエルンでも良いパフォーマンスを披露していたし、世界的にも名の知られた一流選手です。だからこそ初戦で彼を抑えられたことは嬉しく感じています。次節イタリアのカモラネージはタイプは違いますが、ある程度は知っています。試合までに可能な限り彼のプレースタイルを学び、阻止できるよう研究したいと思います。』

 多くのルーマニア選手のようにラツも、過去に3度ワールドカップ出場し、欧州選手権でも活躍したいわゆる黄金世代の偉業の前に、3連続本大会を逃した霞んだ世代で苦しんできました。彼が最も鮮明に覚えている光景は1994年ワールドカップでゲオルゲ・ハジ率いるルーマニア代表がベスト8に進出し、首都ブカレストの町並みで繰り広げられた夜通しのお祭り騒ぎだそうです。今回この死のグループを見事に抜け出してトーナメントに進出できることができればその光景が再現されるだろうと期待しています。

 『誰もが知るイタリア、フランス、オランダ同居のグループから抜け出すことは1994年のワールドカップの衝撃に次ぐ偉業であり、これだけでもチームにとって、選手にとってすでに達成したといっても良いほどで、1994年と同様に国民に幸せを届けることができるでしょう。やはり初戦に負けなかったというのは重要でした。イタリア戦に向けて良いモチベーションで臨めるのもこのためです。イタリアは初戦に大敗するという屈辱を味わっています。イタリアの反撃が予想されますが、我々は我々の能力を信じています。ベスト8まで進出するのを目標とし、イタリア戦がどのような結果になろうとも最後まで突き進んでいきます。』
6月13日 サンクト・ガレン

  キヴのイタリア戦に懸ける情熱

 ルーマニアがイタリアとの注目の第2戦を控える中、キャプテンのクリスティアン・キヴはエースのムトゥが真価を発揮することを期待しています。

 
フランスとスコアレスドローを演じた9日の初戦で、先週末に祖母を亡くしたムトゥは動きに精彩を欠き、75分に途中交代を言い渡された。それでもキヴはルーマニア攻撃陣の最大の武器であるムトゥは世界王者イタリアと顔を合わせる次戦では本来の能力を発揮してくれると信じています。

 『イタリアのDF陣は安心して眠れているでしょうか。何しろムトゥはセリエA、そして欧州でも屈指のFWですから。彼は今季もリーグで17得点するなど、イタリアで何年もプレーしている。ピツルカ監督に起用されれば、本来のムトゥが見られるでしょう。フランス戦で見たムトゥではなく。』

 ムトゥや、シエナ所属のパウル・コドレアと同様に、インテルでプレーするキヴ自身もイタリア人選手との対戦経験を豊富に持っています。ASローマで4シーズンを過ごし、昨年の夏にインテルに移籍したキヴは、アズーリの中心選手をよく知っている。とはいえルーマニアが1989年以来となる対イタリアの勝利を目指す上で、この情報が役立つとは考えていない様子。

 『イタリアの戦い方は広く知られている。彼らには特別なサッカー文化があり、だからこそ世界王者なのです。もちろん、戦う上では相手のことをできるだけ知っておいたほうがいいでしょう。でもイタリアの場合は、知っていても特にプラスだともマイナスだとも言えないのです。』

 
ルーマニアにとって前回の主要本大会出場は8年前の2000年欧州選手権。英雄ゲオルゲ・ハジに率いられ、キヴも加わっていたチームは8強に進出するも、準々決勝ではイタリアに0-2で敗戦。それに続く冬の時代は、ハジをはじめとする黄金の世代の影に隠れてきたルーマニアの若い世代にとってつらいものだった。しかしキヴは、再び8強に入って自分たちの価値を証明しようと燃えている。

 『このチームは少なくとも2000年のチームに劣らず、組織力やモチベーションは当時より高いものがあります。この8年はいら立ちばかりが募るものでした。今こそ、敗者の世代ではないことを証明し、最高のレベルでプレーできることを示したい。』
6月12日 サンクト・ガレン

  イタリアの逆襲に対するコントラ

 コスミン・コントラは死のグループでかませ犬と評されたルーマニアが一転して、グループの命運を握る秘密兵器であることを証明できると信じています。しかしもちろん対戦相手のイタリアがワールドチャンピオンであるということも認めています。

 『第1戦を終えて我々のチャンスは良い方向に向かっています。しかしイタリアは大敗したものの、精神的に打ちひしがれているとは思っていません。挽回するために躍起になって実力を証明しに来るでしょう。我々のアドバンテージはまさにそこで、プレッシャーのない、期待が少ないというところなのです。イタリアは我々に勝つことができなかったら早々に大会を去ることになります。そこで前のめりになりスペースが生まれるでしょう。私にとってピルロはイタリアの最重要選手です。しかし特にピルロ対策というか、システムはフランス戦と同じになるでしょう。同様に守備に重点を置くでしょうが、攻撃にも活路を見出す形になります。』

 残り2試合でなにが起ころうともコントラは久々の本大会を楽しむつもりでいます。そしてわざわざ応援に駆けつけてくれたファンに感謝を忘れず、できるだけ多くの試合ができるよう願っています。

 『初戦での彼らの応援は非常に頼もしかった。ピンチの時もそれが力になってものです。イタリア戦でも勝利への後押しを期待しています。スイスは非常に美しい国で、緑もたくさんの穏やかな雰囲気に包まれている素晴らしい場所です。なるべく長く滞在できるようにしたいですね。』
6月12日 サンクト・ガレン

  ピツルカ、虎視眈々と

 対戦前にスタメンの名を明らかにしてメディアを喜ばせるコロアチアのビリッチ監督とは対称に、ルーマニア代表のピツルカ監督は敵に手の内を明かすことを好まないようです。しかし会見ではフランス戦のメンバーから多少の変更があることも示唆しています。

 まずGKとDFは不動のメンバー、ロボンツ、コントラ、タマシュ、ゴイアン、ラツでほぼ決まり。変更が噂されるのは中盤底に並ぶ3人だろう。左のキヴは不動で、前回のラドイ、コチシュのラインに手を加えるものとみられる。ラドイはヒザに爆弾を抱えたままの状態で本戦に臨んでいて、ピツルカも以前にラドイのヒザは連戦には耐えられないだろうと明言していることから、イタリアで長きに渡ってプレーしているコドレアが有力。そして右かキヴとコドレアの少し前にコチシュを置く布陣が一番か。3トップの右では攻撃でペトレ、守備とバランスでニコリツァが45分づつの出場となるだろう。またカンナバーロが離脱、マテラッツィをコンデション不良で出場が微妙と言われているセンターバックをターゲットにマリウス・ニクラエ、ニコラエ・ディカを起用してダイレクトな攻撃を仕掛ける可能性もみられています。
6月11日 サンクト・ガレン

  ゴイアン、強い意志と共にイタリア戦へ

 ルーマニア代表DFドリン・ゴイアンは第2戦でのイタリアの激しい巻き返しに対してすでに臆することなく立ち向かう覚悟と共にサプライズを目論んでいます。

 ゴイアンはルーマニア代表がフランスをスコアレスで抑えたディフェンスのキーマンであり、予選から通じてその成長振りに自信も自信をつけている様子。しかしイタリアの敗戦を目のあたりにして第2戦はさらに激しくなることを予想しています。

 『イタリアにとってはこのグループ突破に向けての最後のチャンスとなるでしょう。彼らはなんとしても我々を倒さなくてはならないから、今まで見られなかったぐらいの攻撃偏重でくることが必須ですね。だから我々も今まで以上に集中しなくてはいけないし、一つのチャンスも疎かにできないでしょう。』

 ゴイアンはクラブでも代表でもその長身を生かしたディフェンスとセットプレーでの重要な得点源として重宝されています。予選でのわずか7失点しか許さなかったディフェンスの立役者であり、オランダに初勝利した試合で決勝点を決めています。すでにその評判は世界中に知れ渡っており、大会終了後の移籍も噂されています。本人もオファーがあれば、その興味を隠すことは難しいと公言しています。

 『私は現在、移籍に関してはなにも考えていません。ルーマニア代表のためにここにいて、目の前の試合で良いプレーをして勝利に貢献することしか頭にないですから。とにかくフランス戦の結果で我々にもチャンスが十分にあることを証明できました。このグループを突破するだけで大きな一歩です。しかし突破したらしたで次に目指すは準決勝や決勝と欲が出てくるのでしょうね。そんな感覚を味わえたら最高ですよ。』
6月10日 サンクト・ガレン

  代表の躍進準備はOK

 ルーマニア代表ラズヴァン・コチシュはフランス戦でのポイント奪取、そしてオランダがイタリアを下した結果にさほど驚きを示していないようです。

 『オランダはそもそも超攻撃性能を持った良いチームですから、勝利にも当然値しますよ。我々のドローに関しても、そもそもイタリアとフランスが前回決勝で戦ったと言うだけですでに勝ち抜けを決めていた回りの予想があまりにも安易すぎだっただけです。ただ一つだけ驚いたのはあんなに大差がつくとは思っても見なかったですね。これでオランダを調子つけてしまったのは確実です。』

 そして予選でのオランダ戦に勝ち越したことも鵜呑みにしていない模様。現在考えていることはイタリア戦についてのみでそこでのポイント獲得がこのグループでの運命を左右するとふんでいます。

 『次のイタリア戦ではフランス戦の時のような完全守備ではないでしょう。初戦は大事にいきましたが、少なくともあと1勝はしないと勝ち抜けることは厳しいですからね。死のグループとか言われようが、我々は突破のことしか考えていませんからね。イタリアも後がないため相当死に物狂いで向かってくるでしょう。なんたってワールドチャンピオンですから。そして次にはオランダ戦です。予選では勝ち越しているもののそれはすでに過去のものです。今とは状況が違います。慢心で臨めば確実に大差で敗れるでしょう。しかし集中して臨めば予選と同じような結果にすることも可能です。要は自信を持って純粋に目の前の敵に立ち向かえば、我々はけっして4位確定のチームではないのです。』
 
6月10日 ザンクト・ガレン

  マリカがケガでイタリア戦は欠場

 フランス戦を終えてトレーニングを再開した昇り調子のルーマニア代表にあって、チプリアン・マリカだけが練習中のケガでイタリア戦絶望という不調を囲っています。

 マリカは練習中にマリウス・ニクラエと衝突し頭部を強打。そのまま10分にもわたるピッチ上の診断の後に病院に搬送されています。少なくとも2日の安静が必要でイタリア戦起用は難しいとのこと。マリカは予選を通じてスタメンでしたが、後半にスランプに陥りサブ降格かと言われていました。そして実際ついに本戦のフランス戦ではスタメンから外されて出場すら実現しませんでした。一気に第4FWのポジションまで評価を下げてしまったマリカに更なる試練が付きまとうことになったようです。
6月9日 チューリヒ

  2008欧州選手権 グループC 第1戦

フランス戦

  
まずは負けないという鉄の意志が成就。貴重な初戦をしかもフランスから奪取。これでフランスは突破のシナリオから後退。イタリア、オランダはこの試合のルーマニアをどう見るか。

レツィグルント・シュタディオン
ルーマニア 0 00 0 フランス
00
ボグダン・ロボンツ
コスミン・コントラ
ガブリエル・タマシュ
ドリン・ゴイアン
ラズヴァン・ラツ
ラズヴァン・コチシュ
(64分 パウル・コドレア)
ミレル・ラドイ
(93分 ニコラエ・ディカ)
クリスティアン・キヴ
バネル・ニコリツァ
ダニエル・ニクラエ
アドリアン・ムトゥ
(78分 マリウス・ニクラエ)
GKGK
DFDF
DFDF
DFDF
MFMF
MFMF
MFMF
MFMF
FWFW
FWFW
FWFW
FWFW
FWFW
グレゴリー・クペ
ウィリー・サニョル
リリアン・テュラム
ウィリアム・ギャラス
エリック・アビダル
ジェレミー・トゥララン
クロード・マケレレ
フランク・リベリ
フローラン・マルダ
ニコラ・アネルカ
(72分 バフェタンビ・ゴミス)
カリム・ベンゼマ
(78分 サミア・ナスリ)
ヴィクトル・ピツルカ 監督 レイモン・ドメネク
4-3-3フォーメーション 4-4-2フォーメーション
警告
ダニエル・ニクラエ(1枚目)
コスミン・コントラ(1枚目)
ドリン・ゴイアン(1枚目)
27
40
43
51



ウィリー・サニョル
ベンチ
マリウス・ポパ
エドゥアルド・スタンチョウ
クリスティアン・サプナル
ソリン・ギオネア
コスミン・モツィ
シュテファン・ラドゥ
アドリアン・クリステア
フローレンティン・ペトレ
チプリアン・マリカ
/・ ステーブ・マンダンダ
セバスティアン・フレイ
ジャン=アラン・ブームソン
パトリス・エブラ
フランソワ・クレール
セバスティアン・スキラチ
パトリック・ヴィエラ
ラッサナ・ディアッラ
ティエリ・アンリ
シドニー・ゴブ

プレイバック・オブ・ザ・ゲーム

 ついに幕を開けた欧州選手権グループリーグ。各グループとも初戦は強豪同士の対決はないため、ゆっくりとそして落ち着いてその余韻に浸れる中、全世界注目のグループCだけは違う。アウトサイダーと位置づけられながらもルーマニアが侮れない存在であることはどの監督も認めている。3戦で勝ち抜けを試算した場合、フランスにとっては決して負けられない、そして番狂わせを狙うルーマニアにとってはなんとしても引き分けでポイントを奪取したいところ。ちなみに私の現実的な青写真はフランスに分け、イタリアに負け、オランダに勝ちで4ポイント獲得。あとは得失点差かこのグループが荒れることを望む。

 フランスは大会前にももの筋肉を傷めたフランスの主将ヴィエラの代わりにトゥラランが先発。またアンリの体調が万全でないため、2トップには早くも今大会でブレイクが予想されるベンゼマをスタメンに起用してきた。ルーマニアは慎重にそして守備的戦術でいくことを右サイドにニコリツァを起用することで示し、その背後のフラット3にはコチシュを持ってくることでバランスを取ったようである。

 序盤はやはり初戦ということもあり、さぐりさぐりの両チームで静かな主導権争いが繰り広げられた。意外にも先にチャンスを作ったのはルーマニアで9分にムトゥがゴールを脅かすと、16分には右サイドからコントラのロングボールにムトゥが落とし、1トップのダニエル・ニクラエがミドルを放つも枠外に外れてしまうが、試合の流れが予想外な方向へと進むのではと考えさせるには十分なスタートダッシュを見せる。

 しかしこれがフランスの焦りを引き出し、前半終了までフランスに攻撃のボール支配率を譲らざるをえなかった。17分、ロングボールにマルダが抜け出すもロボンツが体を張って阻止。29分のベンゼマのドリブル中央突破はキヴがファウルで止めて、33分のリベリのショートコーナーからのクロスにゴール前のフリーでアネルカがバー上にふかす。36分には右サイドで対峙したゴイアンがアネルカに一気に抜かれて強烈なシュート。42分にはリベリのセンタリングにベンゼマが合わせるもロボンツが難なくキャッチ。33分のピンチ以外はどれも決定的とは言えないもの。

 ルーマニアはこの間、わずかなチャンスをムトゥ中心にカウンターで攻めてチャンスは得られなかったが、持ち味の前線から終盤ラインまで徹底したコンパクトなフォーメーションで常にフランス1人に対して2人がプレッシャーにつく執拗なディフェンスでフランス攻撃陣に強引なプレイしか選択させなかった。特にニコリツァの運動量は目を見張るものがあり、攻撃での見せ場を放棄するぐらい相手のマルダを完璧に封じて見せた。これで前半は終了。

 後半に入るといきなり3分に左のマルダがコントラをドリブルで翻弄し、抜き去られ一気にシュートまで持っていかれる。返す刀でルーマニアは2分後にコチシュから左のムトゥへロングボールがつながりサニョルとの1対1でワンチャンスだったが、抜かれる寸前にサニョルのファウルで突破は阻止された。

 後半の一番のピンチは11分に訪れる。右サイドをオーバーラップしてきたサニョルに崩されてクロスを上げられると、中央エリア外に構えていたベンゼマがフリーでそのままシュートを打たれた。その瞬間、この若手をスターダムに押し上げてしまったと思いきや、ロボンツの正面で難を逃れる。また19分にもベンゼマをフリーにさせるが、これは強引に打たせたもので脅威にはならなかった。

 ルーマニアはここまで変わらず守備的にリスクを冒さず試合は進行。フランスが交代投入させてきたナスリ、ゴミスといった新星にも仕事をさせず、終盤80分からペースアップ。あわよくばのカウンターを試みるが、あくまで集中力持続のコンパクトなサッカーに終始したため素早く前線に繋がる決定機は生まれなかった。試合はそのまま流れ、リスク回避に終始し攻撃は単発のカウンターに頼ったルーマニアがコンセプト通りの勝ち点1をもぎ取ることに成功した。

 『体力的な厳しさが前面に出た戦いだったが、結果には満足している。もちろん勝点3を獲れていたかもしれない。フランスは以前ほどの強さがないような気もした。後半に交代したアドリアン・ムトゥは問題ない。大会前の準備期間中も完全ではなかったので、この試合で75分間出場できたことが大切だった。次の試合では本来のムトゥをお見せできるだろう。前半のうちに選手たちが簡単にイエローカードを貰っていたのは心配だったが、ハーフタイム中の私の指示をちゃんと理解し、後半はカードを貰わなかった。フランスにはいい選手がいるが、高齢の選手も何人かいると思う。経験豊富な選手たちだが、こうした主要大会の戦いに疲れてしまっているのかもしれない。ベルンでのグループCのオランダ対イタリア戦はどっちが勝ってもいい。大事なのは、自分たちが次のイタリア戦にちゃんと備えることだ。私たちは絶対に負けたくない。』−ピツルカ談

ラツが見事にリベリ封じを完遂

グループC その他の結果
 オランダ 3-0  イタリア


現在のグループCの戦績
TEAM 得失 勝点
オランダ 1 1 0 0 3:0 3
ルーマニア 1 0 1 0 0:0 1
フランス 1 0 1 0 0:0 1
イタリア 1 0 0 1 0:3 0

 優勝候補と言われたフランスの攻めは対策通り分かりやすいものだった。マルダ、アネルカは怖くない。唯一レベルの違うリベリは組織でシャットアウトできたし。ただ助かったのは守備的MFにマケレレとトゥラランという守備偏重の選手を置いてきたこと。ここにボール奪回がうまく、リスクを冒し攻撃にも絡めるヴィエラがいたらサイドの守備で空いた中央を攻められて失点のピンチは多かっただろう。とにかくルーマニアは組織的守備においてはこれで認められただろう。しかしボール奪取後のパスはせっかくもぎ取った効果を消していた。雑すぎてもったいなかった。これを落ち着いてキヴのように攻めへの第1歩につなげればカウンターも生きていくだろう。よくやったが、将来に向けて勝ちきるという視点をもつのなら改善点だろう。今回は分けることが次第点。勝たなければいけない場面でどう影響するか。

6月9日 チューリヒ

  ハジが番狂わせを期待

 グループ初戦でフランスと対峙するルーマニア代表はトライアン・バセスク大統領、元代表の英雄で元代表監督のゲオルゲ・ハジという政界とレジェンドの応援を後方に受けることになりました。

 ハジは現役時代に黄金世代の担い手として最大の英雄であり、ワールドカップには90年、94年、98年、欧州選手権には84年、96年、2000年に出場しています。特に引退前の2000年大会では現在のメンバー中のキヴ、ムトゥ、コントラ、ペトレ、ロボンツらと挑み、ドイツ、ポルトガル、イングランドの死のグループを突破しています。そしてこの大会後にハジが引退し、代表は大舞台から遠ざかりましたが、ハジは今回ルーマニアは下馬評を覆してフランスに勝つ可能性があると述べています。

 『非常に難しいグループに入った。フランス、イタリア、オランダはいずれも優勝を狙えるチームだ。しかしサッカーは常に何が起こるかわからない。前回のギリシャのように本戦に出場するチームに優劣を下すのは難しいことだ。ルーマニアがこのグループでサプライズを起こす可能性もある。フランス戦は共に好チームだが、フランスはイタリアと共に優勝候補に挙げられている。私達よりもプレッシャーがあるはずだ。ルーマニア勝利を呼び込む力のある選手がいる。しかし大事なのは初戦で負けないことだ。』
6月8日 チューリヒ

  キャプテンが語る、いざフランス戦へ

 ルーマニア代表を束ねるキャプテンのクリスティアン・キヴは選手生活最大最難関の一つとなる全世界注目のグループC初戦のフランス戦を怯えることなく、高ぶる心を抑えきれないようです。

 キヴは早くから代表で活躍し始めて、前回出場した2000年の欧州選手権でも19歳ながらマルディーニ級の賛辞を送られていましたが、8年の月日はクラブで名声を得るも代表は世界のサッカーシーンから遠ざかっていました。そして今回再び脚光を浴びる舞台へとたどり着いたことに興奮を隠しきれない様子であります。

 『代表のキャプテンは大きな栄誉であり、母国を大舞台に導くのは最高の気分です。ここまでくるのにだいぶ時間がかかりましたが、ルーマニアは再び戻ってきた。フランス、イタリア、オランダ相手という至高の舞台を楽しみにしています。2000年に出場した時はまだ私は若い一人の選手でした。私を含めて当時のチームから残っているムトゥ、コントラ、ペトレ、ロボンツには大きな期待がかかっているでしょう。その期待がプレッシャーではなく励みになっていることをここで言いたい。私の得意なポジションはCBですが、代表ではここしばらくは中盤を任されています。チームのためにピツルカがそう決めたことは尊重します。我々はスタメン11人全員で守備をして、全員で攻撃をしなくてはいけません。予選ではそうしてきましたし、それが成功の最大の理由となりました。本大会でもそうなるでしょう。』

 代表は8日、チューリヒで合同練習を行いましたが、そこには先日、愛する祖母を亡くしたムトゥの姿がありました。チームメイトは黙々と練習するエースの態度に心を打たれ、フランス戦はムトゥのためにも結果を出してみせると決起したようです。

 『ムトゥは素晴らしい選手。この悲劇を乗り越える精神的強さを持っている。彼はこの2日間、練習で素晴らしいプレーを見せてきた。この偉大なエースの存在が我々に自信を持たせてくれるのは間違いない事実です。』
6月7日 チューリヒ

  ルペスクも認めるピツルカの力量

 元ルーマニア代表のヨヌーツ・ルペスクは前回出場した2000年欧州選手権で本戦前に選手たちがピツルカ監督を更迭に追いやったことを間違いだったと認め、今回は彼の力でルーマニア代表は躍進するだろうと自信を持っているようです。

 現在ルーマニア・サッカー協会のジェネラル・ディレクターであるルペスクは2000年当時の代表メンバーで本戦にも出場しました。しかし予選突破を果たした後に代表はハジやポペスクなどの重鎮からの反旗で監督のピツルカからイエネイに交代していました。そしてそれ以降の予選ではご存知のとおり3つの大舞台にたどりつけないという氷河期に入っています。ピルツカの復帰によりまた大舞台に戻ってきたルーマニアですが、ルペスクいわくこれは偶然のことではないといいます。

 『今でも2000年のピツルカ更迭を決定した協会の判断には納得いきません。普通に予選突破に導いた監督をそのまま本戦で使うのは妥当でしょう。しかし我々はミスを犯しました。このことが多大なツケとなって長い時間を失いました。』

 ルペスクは黄金世代の守備的MFとして90年、94年のワールドカップ、そして96年、2000年の欧州選手権に出場していますが、現在の選手達の境遇にちょっとした憧れを持っている模様。

 『少しうらやましいですね。だってオランダ、イタリア、フランスと対戦ですよ。私だって対戦したことないですから。選手に戻ってこのグループで戦ってみたいですよ。選手にとって最高レベルの相手と対戦することは夢の一つですからね。』(実は96年欧州選手権でフランスとは対戦しています)

 今までピツルカの代表はハジ率いる黄金世代と比較されつねに足元にも及ばないと評されてきましたが、ルペスクはキヴ、ムトゥ中心にこの大会でサプライズをおこして新しい黄金世代を作ることができると信じています。
6月6日 ザンクト・ガレン

  現状に厳しく臨むコントラ

 コスミン・コントラは初戦のフランス戦において特にフランク・リベリに気をつけよと警鐘を鳴らしています。

 コントラは今シーズンのUEFAカップで準々決勝のバイエルン戦で第1レグでロスタイムに1-1となる奇跡の同点弾を決めヒーローに。つづく第2レグでも先制弾を決めてそのまま試合終了に近づき、DFながらバイエルン相手に全得点をたたき出すミラクル・ヘタフェの立役者となる寸前までいきましたが、コントラ交代後の試合終了直前にリベリに決められ、その後の延長でももつれて惜敗していました。

 『その試合ではリベリを抑えていましたが、1対1の状況では非常に危険な選手でした。テクニカルでありながらエネルギッショな選手なので常に集中していないとやられてしまうでしょう。そしてテストマッチでのフランス戦も見ましたが、彼らは試合中に何度もシステムを変える柔軟性を見せていました。それに対する対策も考えなくてはいけませんね。』

 またピツルカの集団としての意識については
 『ピツルカはプレッシャーを取り除くためにリフレッシュを考えていますが、我々は遊びに来たのではありません。厳しいグループの中においても突破を目指して戦わなくてはいけません。もっと個々の能力を執拗に追求する必要があります。』
6月6日 ザンクト・ガレン

  マリウスのフランス対策

 マリウス・ニクラエは来るフランス戦に対してスコットランドのような戦い方を参考にするべしと提言しています。

 現在スコットランドのインヴァーネスに所属しているマリウス・ニクラエは今予選で惜しくも僅差でイタリア、フランスの後塵を拝したスコットランドがフランスとの直接対決2戦で共に1-0で勝利した戦いに衝撃を覚えています。『スコットランドがフランスに対して講じた作戦は非常に興味深いものがありました。常に一定の間隔をキープしてコンパクトにフィールドを支配していました。それが結果に繋がったのでしょう。』

 ケガのため過去2シーズンにわたってコンディションが万全ではなかったマリウスは本大会のエントリーに間に合ったのを非常に喜んでいます。かつてスポルティング・リスボンでクリスティアーノ・ロナウドやリカルド・クアレスマらと輝きを放っていたマリウスは度重なるケガで徐々にクラブシーンでも落ちぶれていき、代表からはおのずと呼ばれなくなっていました。しかし代表復帰ということを目標に弱くても常時出場ができるクラブを選んだ結果、クラブの名声は低くてもこうして代表の栄誉に預かることができました。『私はマインツが降格してからフリーでした。そしていくつか良いオファーがあったのも事実です。しかしクラブの選択で今まで失敗してきたことがより慎重にさせました。当初こそスコットランドのプレーのリズムに苦労しましたが、プレーするうちにフィットして得点にからむことができるようになりました。』

 マリウスは今シーズンのインヴァーネスで10得点を記録。特に後半での活躍はピツルカに代表復帰に値すると認められ、ロシア戦で久々にピッチに立ちました。『インヴァーネスには感謝しています。私に復活のきっかけを与えてくれました。そして欧州選手権メンバーに選ばれる栄誉までも。代表復帰という夢は叶いました。次はこの難しいグループで8強に残ることを目標にしていますよ。』
6月5日 ザンクト・ガレン

  死のグループにも怯まないムトゥ

 ルーマニア代表のアドリアン・ムトゥは死のグループと呼ばれているグループCを突破することができれば、それは2000年大会のベスト8を上回る快挙になるだろうと信じています。

 8年前、当時21歳だったムトゥは2000年欧州選手権本戦出場を果たし、前回大会優勝国ドイツ、イングランド、ポルトガルが揃った死のグループでルーマニアは下馬評の2強を蹴落として、見事に準々決勝進出を果たしました。今回、その時以来の国際大会に臨むムトゥはチームの頼れるベテランとしてワールドカップ優勝国のイタリア、準優勝のフランス、さらにオランダが同居するこのグループで前回より厳しい戦いになることを覚悟しています。

 『2000年大会のグループリーグも厳しいものだったが、その時はワールドカップ王者と準優勝チームが相手ではなかった。このグループで戦いたいと思うチームなどいないだろう。史上最も過酷なグループと言ってもいいだろう。この中の2チームが早々に帰国する運命なのは分かっているが、この状況を受け止めて突破に向けて戦いたい。』

 2000年の大会ではムトゥはドイツと1-1で引き分けたグループリーグ初戦で英雄ゲオルゲ・ハジに代わり、後半途中からピッチへ送り込まれた。今ではムトゥは、同じく2000年大会に出場した主将クリスティアン・キブとともに、祖国の期待をその両肩に背負う中心選手になった。両選手は現在、9日にチューリヒで行われるフランスとの初戦に向けて調整を続けている。

 ムトゥは2000年大会と同様、初戦で自信を深めることが重要だと考えている。『フランスはテクニカルな選手がそろう素晴らしいチームだ、しかし弱点も持っている。今はその弱点を明かせないが、いずれにせよ多くの決定機はないだろう。だから限られたチャンスを無駄にしないことが大切だ。われわれの苦戦は予想されている通りだが、とにかく全力を尽くして戦う。フランス戦でポジティブな結果が出せれば、イタリア戦とオランダ戦に向けて大きな自身となるだろう。主将のクリスティアン・キブも言っているとおり、今大会はわれわれの実力を披露する機会だ。』
6月5日 ザンクト・ガレン

  アウトサイダーと呼ばれて心地良し

 ルーマニア代表ダニエル・ニクラエは死のグループにおいて他の3強のかませ犬と呼ばれることについて、それはそれで楽しんでいるいった様子。

 8年ぶりに本大会に進出したルーマニアはイタリア、フランス、オランダという死のグループに入ったことで開幕前のどの新聞、雑誌においてもひどい扱われ方をしています。しかし多くのルーマニア選手と同様にダニエル・ニクラエもそのような低評価は逆に代表への過度な期待が選手達の重荷にならず、プレッシャーは少なくなっているといい意味で理解しています。

 『こんな強烈なグループではルーマニアが最弱と言われるのも当たり前です。他のチームに比べてルーマニアはまだタイトルを取ったことがないし、ここ最近は大舞台にも姿を見せていませんでしたからね。しかし対戦するチームからは敬意を払われていることは知っています。そしてそれなりに恐れられているということも知っています。欧州選手権という舞台で彼らのような偉大なチームと対戦できるのは興奮しますね。すべての1試合が大きな意味を持っています。3試合すべてが世界的カップ戦での決勝戦みたいなものです。期待を裏切らない試合をしたいものです。』

 ダニエルはニステルローイ、アンリ、トニのような試合を決められる能力を持った選手の存在は大きな影響を与えることも知っています。しかしルーマニアのディフェンス力が同様にライバルたちに大きな影響を与えることも知っています。

 『決定的な選手を多く抱えている強豪と比べて、我々にもそのような選手がいます。しかし我々の強みはその結束力です。我々にとってもグループ突破は重要なのです。代表は8年待ちました。8年フラストレーションを溜めました。突破への野望は並々ならぬものがあります。』
6月5日 ザンクト・ガレン

  ピツルカ、本大会へ挑む

 本大会が近づくこの時期は全ての指揮官が最もナーバスになる時と言ってもよい。死のグループの中にあってピツルカ監督にもそのプレッシャーが日増しに強くなっている。しかし一人の存在が彼を安心させているのも事実だ。今や世界的名手となったアドリアン・ムトゥが好調をキープしたまま本大会に望めるのが大きい、。

 『ムトゥの存在は非常に重要だ。長い時が経って彼は成熟したし、経験も積んだ。結婚して家庭を築いたのも大きいだろう。これらのことが影響しているのはムトゥも認めている。私の意見ではいまや彼は世界でも指折りのトッププレイヤーだろう。』

 本大会出場を経て高い評価を得ているルーマニア。しかし常にピツルカ監督は特定の個人の能力に頼りきったチームではなく、集合体としてのチーム力が売りであると答える。ムトゥ、キヴ、ロボンツらの力ももちろんあるが、大事なのは一つの目的の元に誇る結束力がこのチームを大きくしたのだと。

 『ここまで来るのに長い時間がかかった。元々スキルフルな選手を揃えて良いチームではあった。しかし私が就任した2004年当時はチームには結束と言うものがまるでなかった。それは何人かの選手も気付いていたはず。それから選手との対話も交えて、意識を植え付けてきた。選手たちが聡明で理解を示したこともあり、代表に守るべき規律が生まれた。』

 その団結によってルーマニアは生まれ変わった。今予選では2試合を残してすでに突破を決めた後のブルガリア戦での1敗だけで、特に前回の予選で2連敗と内容でもまったく歯が立たなかったオランダとの2戦では1勝1敗と勝ち越し、オランダの攻撃力を前にして無失点で切り抜けたことがルーマニアの再生を広くアピールしたことだろう。2000年欧州選手権以来の大舞台に再生を望むのは監督だけではない。ムトゥ、キヴ、ロボンツらは若くして最後のハジとの共存を果たしており、今度は自らの世代を栄光に輝かせるべく挑むことに。

 『もし選手のコンデションが上々であれば、過去最高の成績も残せるだろう。決勝に進み、勝つことも。しかしもし死のグループでなくても全敗ということも考えられる。それほど近年の各国のレベルは切迫したものになっている。前回のギリシャがいい例だ。チャンスはほとんどなかったと言ってもいい。しかしセットプレーとディフェンスという限られたチャンスだけを確実にモノにしてみせた。多くの監督は知っている。不可能なことなんてないと。我々もよく黄金世代と呼ばれたハジの世代と比較され、劣っていると評価される。しかし私が思うに黄金世代とは少なくとも一つはトロフィーを掲げなくてはいけない。彼らはそこまではいかなかった。我々がそうなれば確実に真の黄金世代と呼べるし、それができると信じている。』
6月3日 ブカレスト

  ゴイアンがフランス戦にOK

 モンテネグロ戦前の合同練習で負傷して、フランスとの初戦に間に合わないのではと危惧されていたドリン・ゴイアンは順調な回復を見せてスタメンでの出場も可能と判断されました。

 ゴイアンは予選でルーマニア代表のスタメンとして活躍。9試合2得点を記録していました。特に首位攻防戦のオランダ戦では得点を決めて歴史的にも貴重な初勝利の立役者としてその名を刻んでいます。

 ルーマニアは代表合宿に入って以来、オヴィディウ・ペトレ、ダヌーツ・コマンとケガでの離脱者を出しており、負の連鎖かと思われましたが、なんとか踏みとどまることができました。最悪の状況もふまえてすでに代替選手としてコンスタンティンやマルガリテスクを準備していただけに朗報と言えるでしょう。
6月1日 サンクト・ガレン

  ユーロの舞台に帰ってきた代表のエース

 8年前の2000年欧州選手権で、ルーマニアはドイツ、ポルトガル、イングランドといった強豪国がひしめく“死のグループ”に入った。世界中のメディアは“アウトサイダー”としてグループリーグ敗退の最有力候補として挙げた。しかし、ルーマニアは、1勝1分け1敗の2位で“死のグループ”から生還し、ベスト8に入る快挙を成し遂げた。

 あれから8年、ルーマニアは再び“死のグループ”に入った。だが、エースストライカーのアドリアン・ムトゥは悲観していない。今季、所属のフィオレンティーナで17ゴールを挙げ、セリエA得点ランキング4位に名を連ねたムトゥは、ルーマニア代表でも予選でチーム最高の6ゴールを記録。オランダを抑えて予選1位通過の原動力となった。コカイン使用による長期間の出場停止を乗り越え、再びキャリアの絶頂期を迎えているムトゥ。今大会で狙うのは、もちろん2000年大会の再現だ


ルーマニアのエースとして期待がかかるムトゥ。2008年欧州選手権での活躍を誓う。

 欧州選手権開幕が迫ってきたけれど、今どんな気持ちでいる?

 『すごく期待しているよ。長い間欧州選手権を待ちわびていたからね。ルーマニアはすごく厳しいグループ(イタリア、フランス、オランダと同じC組)に入ったけれど...。それでも僕らは楽観的に考えているし、一つずつ試合に勝って、次のラウンドに進めればいいと思っている。結果はふたを開けてみなければ分からないけれど、大切なのは僕らが対戦するのは決して生易しい相手ではないということを、きちんと認識することだ。そのためには、選手一人一人が責任を持たなくてはならない。もちろん、過度なプレッシャーは禁物だけどね。むしろプレッシャーがかかるのは、強豪国と言われているルーマニア以外の3カ国だと思う。』

 ルーマニアの目標としては、グループリーグ突破ということになるのだろうか?

 『そうだね。さっきも言ったように、まずはそれが目標になると思う。客観的に見れば、ルーマニアはグループCの中で一番下にいるからね。あとの3カ国は大会の優勝候補とも言えるチームだ。だから、僕らにはプレッシャーなど全くない。』

 ルーマニアの強みは?

 『強みか...それは野望じゃないかな。僕らはまだ若いチームだけど、力は持っていると思う。今予選でも、オランダを抑えて首位通過を果たしたからね。そういう意味では、僕らはすでにオランダを倒したとも言える。本大会でもいい結果を残してファンにアピールしたい。そして、ルーマニアの名前をできるだけ高いところに引き上げたいんだ。どうなるかは分からないけれど、僕らは全力を尽くすつもりでいるよ。』

 じゃあ逆に弱点はどういうところ?

 『どうだろう...。まずは自分たちのベストを尽くして、弱点については後で考えたいね。』

 欧州選手権の歴史において、結果を残してきたチームはやはり今大会でも力を発揮すると思う?

 『ほかのチームの歴史が重要だとは思わない。ルーマニアには僕らの歴史がある。人々で埋め尽くされたスタジアムでプレーすることは楽しみだし、今大会もハイレベルの戦いが繰り広げられるだろう。ユーロはルーマニアのフットボール界にとって重要な大会だし、僕らの子供のころからの夢でもあるんだ。』

 本命はどこだと思う?

 『2つか3つ挙げられると思うけど、すべて僕らのグループにいるんじゃないかな。ここには世界チャンピオンと世界2位のチームと、ヨーロッパのタイトルを取りたくて仕方がないチームがいるからね。』

 2004年の前回大会で優勝したギリシャのように、ダークホースにもチャンスがあるだろうか?

 『多くの人はそれを期待しているんじゃないかな。今度は、それが僕らの番だったらいいと思うよ。でも“奇跡”っていうのは、100年に1度くらいしか起こらない方がいいのかもしれないけれど。』

 ユーロで活躍する選手は誰だと思う?

 『クリスティアーノ・ロナウドのように、すでに欧州のフットボールシーンでビッグスターとなっている選手は活躍するだろうね。そこに、アドリアン・ムトゥの名前も加わるかもしれないけれど。ポルトガルやイタリアといったチームは、常にビッグプレーヤーをたくさん輩出している。彼らはこういった大きな大会で戦うすべを知っているんだ。』

 若手選手で注目株は?

 『そうだな...フランス代表のベンゼマは今大会でスターになる可能性を秘めていると思う。それから、すでにビッグネームだけれど、やっぱりC・ロナウドは外せないだろうね。』

 対戦したくないチームはある?

 『何て言えばいいんだい? 僕らルーマニアは、すでにグループリーグで3強と戦わなければならないのに。僕自身は彼らと戦いたいけれど、グループリーグではなく、もっと後だったら良かったのにと思う。そうなれば、どのチームが来たって構わない。それはつまり、ルーマニアが決勝トーナメントに進出したということだからね。』

 グループリーグで対戦する3カ国について聞かせてほしい。フランスをどう思う?

 『ジダンがもういないのはラッキーだと言えるけれど...。フランスは去年は決していい戦いをしていたわけではないけれど、とてもタフなチームだ。常にビッグプレーヤーが何人かいるし、今だったらベンゼマやリベリは驚異的だね。フランスはいつだって手ごわいチームだ。』

 オランダについては?

 『オランダはとてもいいチームだと思う。オランダの選手はテクニックがあるし、特にファン・デル・ファールトとロッベンは僕の好きな選手なんだ。オランダには予選で勝っているし(1勝1分け)、本大会のグループリーグでの対戦も楽しみにしている。』

 イタリアはどうだろうか?

 『トニがいなかったとしても、イタリアは世界チャンピオンになれると思う。ほかにもワールドクラスの選手をそろえているからね。そこにトニが加わったら百人力だよ。フィオレンティーナでチームメートだったトニはどんな状況でもゴールを決める。僕はイタリアのフットボールのことはよく知っているし、ほとんどの選手とセリエAで何回も対戦している。唯一の問題は、僕がまだイタリアに一度も勝てていないということだ。今回そのジンクスを破ることができれば、素晴らしい結果につながると思う。』


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