9月12日 ルーマニア
ラズヴァンの自分勝手な破壊。ユースをも巻き込む
私のサイトにおいては世界的な思索と同様にユース代表はA代表への登竜門であるためさほど趣を置かないのですが、グダグダプランのA代表監督ラズヴァンのせいである問題が起きています。このユース代表をも巻き込んだ騒動はまさにこの指揮官のここまでの能力、評判を如実に表しています。
そもそもの始まりは就任から期待されていた若手起用必須の流れを断ち切り、「28歳前後の選手こそが代表にふさわしい」と理念を掲げたことです。これによりトルジェを筆頭にフル代表相当の実力を持ちながらユースに留まることを余儀なくされた若手が続出。一方、フル代表と言えばおかしな理念によってマーラ、ダンチウレスク、マフテイなどのどう見ても落ち目で代表クラスにはほど遠い選手が鎮座し、いたずらにキャップ数を浪費。能力を見定める能力に欠けた新監督に率いられたルーマニア代表は当然のように親善試合も含めて結果は歴史上最悪のものを残すハメに。
一方、ユース代表は優秀なサンドイ監督のもとに団結及び能力を高めてグループの首位に浮上した。そして2位ロシアとの最終2連戦直前になって、今までユースの試合が組まれていなく、若手を見定めるには十分なチャンスであったフル代表の親善試合5試合にも召集しなかった中で迎えた2012年欧州選手権予選開幕戦にいきなりトルジェらを召集。本来ならステップアップは喜ばしいことでありますが、ユース世代は上のフル代表監督が起用しない旨を明らかにしていたこと、それは親善試合でも召集しなかったことから明らかで、すでにチーム全員は来るロシアとの予選突破に向けての試合に臨んでおり、国民も当初(W杯敗退後ラズヴァン就任から)若手の起用を熱望していながら、頑固なラズヴァンにあきれと共に諦め、フル代表のふがいない結果も含めて、期待するのはユースの予選突破だった。
しかしラズヴァンは明らかに間違っていると批判されながらの方針を取っておきながら、予選開幕において若手を投入。誰もが声を大にして「若手を起用せよ」と言っていたのを無視していながら、ここにきてユースの総決算を潰してまで、サンドイの作ったチームを「隣の芝は青く見える」と簡単に今まで頑固にしていたものを反故。要するに目標としてポイントにしていた開幕戦に向けて就任直後からやるべきだったことが、ようやく本番からスタートされる格好で気づいた模様。ここまでの十分に用意されていた時間を無駄に費やしたことがようやくわかったようです。
若手の起用は大事であり、それを期待していた新政権。使うべきは前回の敗退後残された予選であり、親善試合だった。ここまで12試合の猶予があり、最悪でもその最後の1,2試合でも起用していれば妥協で納得の範囲であった。それを通り越したらもはや使うべきではない。準備のない若手に結果を期待するほうこそ「若手は経験がないから頼りない」として召集しなかったことへの矛盾である。そもそもどんな偉大な選手も代表デビューを控えた経験のない若手の時代があり、それを積ませるのが将来を見据えた指揮官としての仕事でもある。ラズヴァンに見えるのは自分では育てることはせず、他の人が育てたものおいしくいただくことしかないようだ。
ラズヴァンに言わせるとペレ、プスカシュ、ベッケンバウアー、ガリンシャ、プラティニ、ジーコ、チャールトン、エウゼビオ、ジュニオール、ケンペス、ミュラー、バンクス、バレージ、マラドーナ、マルディーニ、ストイチコフ、カレッカ、ロマーリオ、バッジオ、リネカー、ブライトナー、ジダン、ハジ、メッシ、ラーション、ブローリン、ダーリン、ガスコイン、オーウェン、トッティ、ネスタ、ポペスク、ムトゥ、ネドヴェド、オコチャ、キング・カズ(途中から順不同+疲れた)などの偉大な選手たちも28歳まで代表デビューを待たなくてはいけなかったということだ。多くの指揮者がその活躍を信じてピッチに送り出したことが栄光の始まりだったことも知らずに。極論ですが、それほどバカげていた理念だったということです。「若手は経験がないから28歳前後が代表相当」。できれば最後まで貫いて強烈な印象を残して去って欲しかったです。ここからのスタートでもう今予選もダメになったことですし。何度も言うようですが、時間はあったのです。そして多くの人はそうしろと言ってきたのです。頑固な考えを柔軟にしたことは褒めたいですが、もはや遅すぎた。公言はしませんが、ここまできたらサンドイ監督も総決算として最後まで見守りたいでしょう。
長くなりましたが、今回の問題は無事ロシアとの対戦も潜り抜けイングランドとのプレーオフが迫った状況で、トルジェ等のユース世代はプレーオフにつぎ込むか、または後手後手のフル代表のラストチャンスであるフランス戦に賭けるかということが起こっています。サンドイが育てたチームの栄光の手助けをするか、ラズヴァンが破壊し続けたチームの尻拭いをさせるかの2択ははっきりしています。たとえフランス戦を切り抜けたとしてもラズヴァンが率いる限り、一時凌ぎでしかないことは明白なのですから。
私の文章は怒りにまかせた部分が多いため、言いたいことが分かりづらいですが、福岡在住のルーマニアファンであるコンツァ氏がまとめた以下の文章こそ至極納得のいくものであり、おおいに賛同できるものでしたので抜粋しておきます。
ユースのエミール・サンドイ監督の方針は常に一貫しています。それは、「いつでも、我がチームから選手をA代表に連れて行ってほしい。ここ(U21代表)は長く留まる場ではない。もちろん、トルジェとラドゥツが欲しいのは当然。でも、優先権は常にA代表にある。ラズヴァン監督が彼らを
必要と言えば、更に、ビクファルヴィとガマンも必要と言うならば、喜んで送り出すのがユース代表監督の務め。既に、私が指導したチームから、パンティリモ
ン、タタルシャヌ、デアク、タナーセ、B・スタンク、そして、トルジェがA代表に行った。彼らがA代表でプレーする姿が、何よりも誇らしいものだ」とコメント。
問題は、その"長く留まる場ではない"ところに、"長く留まらせた"ヤツがいるということです。ユース代表での活躍が、その後のクラブチームでの出 世に繋がったことは既に紹介しました。これらの選手達は、そのクラブでの活躍を、今度はユース代表に還元し、予選で快進撃を見せました。それでも、無視したヤツがいたのです。
結果論ですが、早くから若手を登用したら、当然、ユース代表はその都度メンバーと戦術の変更に迫られ、もしかしたらグループ首位通過はなかったかも
しれません。でも、別に良いじゃないですか。今のA代表に19~22才の選手達が5,6人もいたら、将来のための犠牲として、近年の結果も不問になってた
でしょう。
要は、「その国のA代表とは、年齢と経験が充実している選手達が集まるべき!」と吹いたヤツが、1年半も結果が出ない挙句に、ここに来て、急に路線変更をしたことが、今回の議論を生み出したのです。
ピツルカから代表低迷期を受け継いだ時にはラズヴァンに対して建て直しに対して寛容だった覚えがあります。それはやはり時間がかかるものであるし、若手の登用さえしてくれればたとえ結果が伴わなくても、そして必然のようにユース代表は弱くなるけれども、将来に向けて必要なことであるし代表を見守るという点では温かく立て直していく過程を楽しんでいこうとも思えるものです。栄光のかげりは悲しいことでしたが、もはやしょうがないものとして多くの人は未来に向けての我慢を伴う大改造は覚悟していたでしょう。現在のところそれが裏切られているからこそ論争が起り、すでに見限っているのです。新監督に期待した仕事はこんなものではなかったと。
|